世界気象の日(3月23日)に寄せるアントニオ・グテーレス国連事務総長メッセージ
プレスリリース 24-013-J 2024年03月23日
私たちの気候は、崩壊しつつあります。その兆候は、かつてないほど明確に現れています。最新の『地球気候の現状に関する報告書』によると、気候に関する記録が軒並み塗り替えられています。2023年には、記録的な暑さ、海面水位の記録的な高さ、海面水温の記録的な高さ、そして南極の海氷面積の記録的な縮小が観測されました。その結果、世界中で火災、洪水、干ばつが発生しています。異常事態がニューノーマル(新常態)となっているのです。人類への影響は明白であり、人命が奪われ、生計手段が失われ、国々の経済は一変しました。
気候カオス(大混乱)は、地球上のあらゆる地域、国家、コミュニティーを脅かしています。それゆえに、今年の「世界気象の日」のテーマが示すように、私たち全員が気候行動の最前線で団結し、より良い未来のために闘わなければなりません。
私たちは共に、気候変動という現実により良く適応した未来を築かねばなりません。そのためには、2027年までに早期警報システムを導入して地球上のすべての人々を守るなど、異常気象に見舞われた際に被害を最小限に抑えるようにすることが欠かせません。私たちは、開発途上国が気候危機に最も寄与していないことを認識し、そうした国々が気候正義を受けられる未来を築かねばなりません。そして、化石燃料への中毒的な依存を断ち、地球の気温上昇を1.5℃に抑えることで、気候カオスの最悪の事態を回避できる未来を築かねばならないのです。
各国政府の行動が極めて重要です。最大の排出国であるG20諸国は、化石燃料から再生可能エネルギーへの世界的な移行を主導しなければなりません。また先進国は、開発途上国の気候行動に向けた資金拠出を実行しなければなりません。企業や金融機関には、排出量を1.5℃の上限に沿って削減し、化石燃料の開発に対する融資を停止することで、さらなる行動が求められます。そして世界中の市民は政府や企業に対して、行動を起こすよう圧力をかける必要があるのです。
世界中の気象学者たちもまた、鍵となる存在です。私は、気候行動を推進する彼らのすべての取り組みに感謝するとともに、排出量の追跡状況を改善するための「グローバル温室効果ガス監視」イニシアチブを歓迎します。
これは、私たちの命をかけた闘いです。気候行動の最前線で共に団結し、より良い未来を築こうではありませんか。
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