『2023年 地球気候の現状に関するWMO報告書』の発表に寄せるアントニオ・グテーレス国連事務総長ビデオ・メッセージ(2024年3月19日)
プレスリリース 24-016-J 2024年03月27日
地球は、救難信号を発しています。
最新の『地球気候の現状に関するWMO報告書』は、地球が危機的状況にあることを示しています。
化石燃料による汚染が、気候カオス(大混乱)をかつてないレベルにまで押し上げています。
すべての主要指標で、警鐘が鳴っています。
昨年には、記録的な暑さ、記録的な海面水位、記録的な海面水温が観測されました。氷河の融解は、過去最大だったと見られます。
いくつかの指標では、単に記録が塗り替えられただけでなく、桁違いです。しかも、その変化が加速しています。
海面上昇は加速化し、沿岸コミュニティーを脅かしています。
昨年9月、南極の海氷面積は、同時期のこれまでの最小記録よりも100万平方キロメートルも小さくなりました。これは、スイスの面積の約25倍に相当します。
こうした影響は明白かつ残酷で、恐ろしい勢いで加速しています。
世界気象機関(WMO)の報告書は、2023年に世界各地で発生した異常気象や、その後残された破壊の爪痕について詳述しています。
何千もの人々が亡くなり、何百万もの人々が家を追われ、作物は不作に見舞われ、莫大な経済損失が発生しました。
持続可能な開発への影響は、壊滅的です。
地球温暖化がわずかでも進むたびに、地球上の生命の未来に影響が及びます。
報告書によると、2023年に世界全体の気温は、一時的に産業革命以前の水準と比べて1.5℃上昇するレベルまでに危険なほど近づきました。
幸い、私たちはまだ、地球の長期的な気温上昇をその上限以下に抑え、気候カオスの最悪の事態を回避できます。
そして、その方法もわかっています。
気候変動の速度に合わせて、持続可能な開発に沿った抜本的な気候行動を行うことで。
G20諸国が世界的なエネルギーの公正な移行を主導し、化石燃料時代の不可避の終焉を早めることで。
各国が、経済全体を対象とし、1.5℃の上限に沿った国別気候計画を、2025年までに策定することで。
異常気象への適応も含め、開発途上国の気候行動に向けて資金を拠出することで。
2027年までに早期警報システムを導入し、地球上のすべての人々を守ることで。
そして、新設された「損失と損害基金」に意義のある資金を投入することで。
人々と地球に命綱を投げる時間は、まだ残されています。
それには、指導者たちが立ち上がり、行動すべきなのです、今すぐに。
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