ハイレベル会合:核兵器の全面的廃絶のための国際デー におけるアントニオ・グテーレス国連事務総長発言(ニューヨーク、2024年9月26日)
プレスリリース 24-075-J 2024年10月18日
各国代表の方々、皆様、
核兵器の全面的廃絶の必要性に焦点を当てるこの重要な日にお集まりいただき、ありがとうございます。
私たちの世界には、これらの死の装置が存在する余地などあってはなりません。
核兵器とは二重の狂気です。
第一の狂気は、たった一度の攻撃で住民、コミュニティー、都市全体を壊滅させ得る兵器が存在しているということです。
私たちは、核兵器が使用されれば人道上の大惨事になることを知っています。それは、国境を越えて広がる悪夢であり、私たち全員に影響を及ぼします。
そうした兵器が真の安全と安定をもたらすことはありません。迫り来る危険と、私たちの生存そのものに対する絶え間ない脅威をもたらすだけです。
第二の狂気は、これらの兵器が甚大で生存に関わるリスクを人類にもたらすにもかかわらず、私たちは10年前から廃絶に向かってまったく前進していないということです。
実のところ、完全に誤った方向に向かっています。
冷戦の最悪期以来、核兵器の亡霊がこれほどまでに暗い影を落としたことはありません。
核による威嚇は最高潮に達しています。
核兵器を使うという脅しの言葉さえ聞かれます。
新たな軍拡競争の懸念があります。
その一方で、核兵器の使用、拡散、実験に対して、数十年にわたって苦労して確立されてきた規範が損なわれつつあります。
各国代表の方々、皆様、
広島と長崎の勇敢な生存者である被爆者たちが直に体験した生きた経験は、核の道の終着点がどこであるかをまざまざと思い起こさせるものです。
被爆者たちは警鐘を鳴らし続け、1945年の恐ろしい核攻撃から得た教訓を忘れてはならないことを私たちに思い出させてくれています。
しかしながら、80年近くが経った今もなお、核兵器保有国は軍縮措置に抵抗し、どういうわけか運が決して尽きることはないと信じて、一か八かの賭けを続けています。
しかし、運は戦略ではありません。
核保有国は、人類の未来を賭けるギャンブルを止めなければなりません。
それは、核兵器保有国が自らのコミットメントを守り、軍縮義務を果たすことから始まります。
核保有国は、核兵器が廃絶されるまで、いかなる状況においても核兵器を使用しないことを約束すべきです。そして、核兵器に関わるあらゆる事項について、最大限の透明性を示さねばなりません。
私はまた、ロシアと米国に対し、核軍縮プロセスに復帰するよう、そして他の核兵器保有国もそれに続くよう求めます。
軍縮と核不拡散は表裏一体です。
一方が前進すれば、もう一方も前進します。
各国は緊急の課題として、その両方を追求しなければなりません。
つい先日、「未来サミット」とそこから生まれた「未来のための協定」は、世界の軍縮体制を再活性化させ、私たちの世界を核兵器の全面的廃絶という目標に近づけるという、新たな世界的な約束をもたらしました。
この目標は、核軍縮を呼びかけた1946年の総会における最初の決議を通じたものを含め、加盟国の大多数によって支持されています。
核兵器が二度と使用されることのないよう、対策を講じる時が来たのです。
各国代表の方々、皆様、
私たちは核兵器の脅威に怯えながら暮らすことに、あまりにも長い時を費やしてきました。
前の世代の人々は、机の下に隠れたり防空壕に避難したりして、核攻撃から逃れる方法を学びました。
しかし指導者たちは、核の脅威を軽減し、これを最後に終わらせるための具体的な措置を講じるという最も重要な責務から逃れることはできません。
核兵器の全面的廃絶の時は、今なのです。
私たちの子どもたちや孫世代にふさわしい、平和で核兵器のない未来を築くために協力する中、国連はすべての加盟国と共にあります。
* *** *
原文(English)はこちらをご覧ください。