世界気象の日(3月23日)に寄せるアントニオ・グテーレス国連事務総長メッセージ
プレスリリース 25-017-J 2025年03月21日
気象学者たちの悲観的な予測は、現実になりつつあります。私たちの気候が大火に飲み込まれようとしています。過去10年のいずれの年も、観測史上最も暑い年となりました。海洋熱が記録を更新し続けています。そして、火災で焦土となる、洪水に押し流される、未曽有の嵐に襲われるなど、あらゆる国々がその影響を受けています。
今年の「世界気象の日」のテーマ「共に早期警報の格差を埋める」は、この新たな気候の現実の中で、早期警報システムは贅沢品ではないことを私たちに思い起こさせます。それは必需品であり、10倍近くもの利益をもたらす健全な投資なのです。しかし、いまだ世界のほぼ半数の国々で、こうした救命システムへのアクセスが不足しています。デジタルの時代にありながら、効果的な早期警報システムにアクセスできないことで人命や生活が失われているのは、恥ずべきことです。
国連の「すべての人に早期警報システムを」イニシアチブは、2027年までにあらゆる場所のあらゆる人々が警報システムによって保護されることを目指しています。この目標を達成するためには、世界が協力し、早急に行動と投資を拡大させなければなりません。
私たちには、各国内におけるこのイニシアチブのためのハイレベルな政治的支援、技術支援の強化、政府、企業、コミュニティー間でのより緊密な協力、そして資金調達の拡大に向けた大規模な取り組みが必要です。国際開発金融機関の融資能力の拡大が鍵となります。昨年合意された「未来のための協定」は重要な前進を遂げているものの、これを完全に履行しなければなりません。COP29の気候変動対策資金における成果についても同様です。
一方で、気候危機が想像を超えて悪化するのを防ぐため、温室効果ガス排出量の迅速かつ大幅な削減を通じて、気候危機を根本から解決する取り組みを強化しなければなりません。今年、すべての国は、世界全体の気温上昇を1.5℃に抑えるという目標に沿った、新たな国別気候行動計画を提出する約束を果たさねばなりません。
気候災害の時代において、正義にかかわる問題として、地球上のあらゆる人々を早期警報システムで保護しなければなりません。共に、それを実現しようではありませんか。
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