UN80イニシアチブに関する記者ブリーフィングにおけるアントニオ・グテーレス国連事務総長発言(ニューヨーク、2025年3月12日)
プレスリリース 25-019-J 2025年03月28日

私たちの世界は、あらゆる分野において困難に直面しています。
世界の状況は国連のあらゆる面に反映することから、国連のすべての活動において私たちはこの困難を実感しています。
現代は極めて不確実で予測不可能な時代です。
しかし、いくつかの真実が今ほど明白になったことはありません。すなわち、
国連が、今ほど必要とされたことはなく、
国連の価値観が、今ほど現実の問題と直結したことはなく、
そしてその必要性が、今ほど高まったこともありません。
一方で、世界を取り巻く大きな課題への対処に国連が一体となって行動すればするほど、各国が単独で取り組むよりも負担が軽減されることを私たちは知っています。
国連は、平和、持続可能な開発、人権を促進する上で必要不可欠な、唯一無二の集いの場として際立っています。
しかし、すべての面において資源が縮小しつつあります。しかもそれは、かなり以前から続いています。
例えば、国連は少なくとも過去7年にわたって流動資産の危機に直面しています。すべての加盟国が分担金を全額支払っておらず、期限内に支払わない国も多いためです。
私は就任した初日から、国連の取り組み方と成果を強化すべく、野心的な改革アジェンダに着手しました。
より効率を上げ、費用対効果を高めるために。
手続きを簡略化し、意思決定を分散させるために。
透明性と説明責任を強化するために。
データやデジタルといった分野に能力をシフトするために。
そして重要なのは、「未来のための協定」と「国連2.0」が、まさに国連を21世紀に合わせてアップデートするためのものだということです。
これらの取り組みは、それ自体が目的なのではありません。
それは、暮らしそのものが国連にかかっている人々に、より良く奉仕するためのものです。
それは、国連のあらゆる活動を支えている世界中の勤勉な納税者たちのためのものです。
そしてそれは、国連旗の下で極めて重要な活動に従事するすべての人々に、適切な条件を確保するためのものなのです。
こうしたすべての理由から、国連のように複雑で極めて重要な組織システムにおいては、その目標を効率的に達成する上での目的に対する適合性を評価する、厳格かつ定期的な精査を受けることが不可欠です。
そして、より一層の緊急性と野心が必要であることを踏まえ、国連創設80周年にあたる今年は、あらゆる取り組みを拡大させる絶好の機会です。
私が昨日、国連加盟国に向けて、いわゆる「UN80イニシアチブ」の正式な立ち上げを発表した理由はここにあります。
私は、ガイ・ライダー事務次長が主導し、国連システム全体を代表する主要メンバーで構成された専任の内部タスクフォースを任命しました。
その目的は、加盟国に対し、以下の3分野について提案を示すことです。
第1に、国連の活動における効率化と改善の領域を速やかに特定すること。
第2に、近年大幅に増加している、加盟国が国連に課したすべてのマンデートの履行状況を徹底的に見直すこと。
第3に、国連システムに関する、より踏み込んだ、より構造的な変革とプログラムの再編成について戦略的な見直しを行うこと。
総会議長のリーダーシップの下、私はすべての加盟国と緊密かつ定期的に進捗状況を協議し、今後の進行において指導を求めるとともに、討議や意思決定において適宜具体的な決定を提示していく予定です。
私の目標は、私が権限を持つ分野について可能な限り迅速に行動し、加盟国に委ねられた多くの決定事項についてその検討を加盟国に求めることです。
これは技術面だけに留まる問題ではありません。国連の予算とは、単なる賃借対照表上の数字ではなく、世界中の何百万もの人々の生死に関わることなのです。
私たちは、共有する価値観を推進するとともに、金額に見合う価値を創出しなければなりません。
その必要性は大きく、その目標も明確です。それは、人々のために成果を出す、21世紀という時代に沿った、より強力でより有効な国連です。
ありがとうございました。
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