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国連気候変動枠組み条約第19回締約国会議(COP19)ハイレベル・セグメントでの事務総長演説

プレスリリース 13-085-J 2013年11月22日

(ワルシャワ、ポーランド 2013年11月19日)

私はきょう、皆様とここでお会いできたことを光栄に思います。私がポーランドで開催される締約国会議(COP)に出席するのは、近年でもこれが2回目になります。

ポーランドの政府と国民の方々による温かい歓迎と、気候変動問題への本格的な取り組みに感謝します。

この部屋に集まった私たち全員が、重大な責任を共有しています。

気候変動は現在、そして将来の世代を脅かしているからです。

先週、フィリピンで発生した大災害を見ただけでも、この責任は明らかです。私は、台風ハイヤンによる被災者と犠牲者、その家族の皆様に深い哀悼の意を表します。

全世界の人々が今、温暖化する地球の怒りに直面し、おびえています。

明らかな科学的結論が出ています。気候変動の最大の原因は、人間の活動です。それを自然のせいにすることはできません。

温室効果ガスの排出量は増え続けています。私たちは人類として初めて、400ppmの二酸化炭素を含む空気を吸っているのです。

その影響は甚大かつ危険であり、誰の目にも明らかになっています。

今年、私が訪れたアイスランドでは、氷河が世界でもトップを争うスピードで解け出しています。今すぐに私たちが行動を起こさなければ、アイスランドは間もなく、氷のない国になってしまうだろうという話も聞きました。

私は今月、世界銀行総裁、アフリカ連合(AU)議長、そして欧州連合(EU)とアフリカ開発銀行(ADB)の高官とともに、サヘル地域を訪問しました。私たちは、深刻な干ばつをはじめとする有害な気候条件が重なり、地域の開発と安全が根底から行われている様子を目の当たりにしました。

私たちは英知と切迫感、そして気候変動に取り組む決意をもって、こうした挑戦に立ち向かわなければなりません。

各国代表の皆様、

私たちの行動が依然として、産業革命前の水準と比較した地球平均気温の上昇を摂氏2度以内に抑えるには不十分な規模にとどまっていることを、私は深く懸念しています。

しかし、私には希望もあります。低炭素の未来に向けた機会と前進が、各方面で見られているからです。

政府や企業、地域団体、女性、若者や先住民の指導者が、私たちの集団的な能力の育成に努めています。

Climate and Clean Air Coalition(気候と大気浄化のコアリション)」、「Global Alliance for Clean Cookstoves(クリーン・クックストーブ設置のためのグローバル・アライアンス)」、「Sustainable Energy for All(すべての人のための持続可能なエネルギー)」、「UN-REDD(途上国における森林減少・劣化からの温室効果ガス排出削減に関する取り組み)」などのイニシアティブは、排出量を減少させ、強靭性を高めています。

持続可能な都市や気候変動対応型農業を目指す新たなプログラムは、人間と地球に恩恵を施しています。

気候変動対策で経済的な利益を得ている国や企業もあります。

再生可能エネルギーに対する世界の需要は急増を続けています。

私たちは今、排出量のギャップを埋められることを知っています。

この勢いをさらに増さなければなりません。

国連も多方面での取り組みに関わっていますが、その中には、フットプリントの削減と気候ニュートラル化により、国連の「Greening the Blue(ブルーをグリーン化)」しようという取り組みも含まれています。

各国代表の皆様、

皆様は2015年までに、気候変動に関する意欲的なグローバル協定を成立させることで合意しています。

私たちの前途には険しい道が待ち構えています。私は4つの分野での行動が必要と考えています。

第1に、ドーハで成立した京都議定書第2約束期間を批准していない国々は、速やかにこれを批准すべきです。

第2に、私は皆様に対し、長期金融とグリーン気候基金を含め、さらに多くの資金を投入するよう呼びかけます。

適応と軽減に使える資金を増やせば、信頼を高め、現地での行動をスケールアップすることができるからです。

気候の安定化に必要な大転換を遂げるためには、各国が気候変動対策に向けた資金拠出の約束を守るとともに、はるかに大胆な新規目標を立てなければなりません。また、政策によって、投資を促すという姿勢を伝えることも必要です。

第3に、私は皆様に対し、気候変動の課題に取り組むための行動指針を構築するよう強く促します。現時点の誓約で十分なはずはありません。ここでも、さらに高い目標を設けなければなりません。

第4に、私たちは2015年の協定に向けた基盤を固めなければなりません。パリでの成功は、リマでの大幅な前進につながります。よって、私たちはここワルシャワで、成功への重要な足掛かりを確保しなければならないのです。

各国代表の皆様、

来年、ニューヨークでの気候サミット開催に向けた私の取り組みに対する皆様の支援に感謝いたします。

気候変動を中心に話し合うこのサミットは、来年の総会開幕前日に当たる9月23日(火)に開催予定です。

私はこの点に関し、気候変動問題に取り組むリーダーシップと強い決意を示されたジョン・アッシュ総会議長に、深く感謝したいと思います。

このサミットは、国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)のプロセスを補完するもので、交渉を行うための会議ではなく、解決策を打ち出すための会議として位置づけられています。すなわち、継続中のUNFCCC交渉プロセスを補うサミットとなります。

私はきょう、すべての国々の首脳に加え、金融やビジネス界、地方政府、市民社会の指導者を、この気候サミットにご招待します。

私は参加者全員に対し、大胆な新しい発表と行動を持ち寄るようお願いします。この重大な時期に私たちが必要としているのは、皆様の政治的リーダーシップだからです。

ぜひとも、皆様が後世に残す遺産という意味から、この問題について考えてください。

皆様それぞれの国だけではなく、隣国や、さらにその隣国のためにもなる計画を練ってください。

今だけではなく、皆様の子どもたち、その子どもたち、そしてさらに将来の世代のことも考えてください。

私は皆様の本格的な関与、支援、そしてリーダーシップを頼りにしています。すべての人にとってよりよい世界を作るため、力を合わせようではありませんか。私たちの未来、私たちの子孫にとっての未来、そして環境的に持続可能な地球を作り上げていこうではありませんか。

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ハイレベル・セグメントで演説する潘基文国連事務総長©UN Photo/UNFCCC/Jan Golinski 
国連気候変動枠組み条約第19回締約国会議(COP19)開幕©UN Photo/UNFCCC/Jan Golinski
記者会見を行う事務総長©UN Photo/UNFCCC/Jan Golinski