中東和平国際メディア・セミナーに寄せる
潘基文(パン・ギムン)国連事務総長メッセージ
プレスリリース 07/038-J 2007年06月26日
東京、2007年6月26日
赤阪清隆・広報担当事務次長が代読
中東和平国際メディア・セミナーにご参加の方々全員に対し、心よりごあいさつを申し上げます。また、セミナーのホストである日本政府と国連大学に対しても、感謝の意を表したいと思います。
中東は今まさに重大な時期を迎えています。長年にわたる占領、暴力、不信を受け、イスラエルとパレスチナの社会的な溝は深まるばかりです。また、パレスチナ側の内政にも憂慮すべき亀裂が生じて、ガザ地区では党派間の武力衝突による死者が増え、破壊が広がっています。
私は特にガザ地区での内紛について、深い懸念を表明してきました。中東和平プロセスだけでなく、きわめて重要な人道援助の実施にも支障が出ているからです。残念なことに、暴力はここ数週間でガザ地区以外にも広がり、パレスチナとイスラエル双方の市民に死者が出ています。私は全当事者に対して、国際法を堅持し、市民を守るよう繰り返し呼びかけてきました。直ちに暴力の悪循環を断ち、平穏を取り戻さなければなりません。
こうした暴力の噴出は、大きな失望を呼んでいます。しかし、これで絶望すべきではありません。私たちはむしろ、公平で恒久的な中東和平を探るため、全力を注がなければならないのです。そして、イスラエルとパレスチナ被占領地区の両方で、2国家共存という和平の枠組みに対し、依然として強い草の根の支持があることを何度も示してきた近年の世論調査結果から、勇気を得なければなりません。
市民社会による和平プロセス支援の役割に関する皆様の議論は、この根強い希望に支えられています。メディア・セミナーという形でこうした話し合いが行われることを、私は心強く感じています。人々に情報を提供し、影響力を及ぼすという意味からも、また、持続的な対話と理解を促すという意味からも、メディアは強力な媒体です。報道関係者も市民社会関係者も、参加するすべての方々が、この混迷の時期に平和と共存のメッセージをいかに伝えるかについて、独創的な議論を展開していただけるものと期待しています。
皆様によるセミナーは、私たち一人ひとりが積極的に平和を求めてゆかねばならないという現実を映し出しています。安全保障理事会決議242、338、1397、1515、そして土地と和平の交換原則に基づき、私たち全員があらゆる方法を用いて、包括的、公平かつ恒久的な和平実現に貢献しなければなりません。
私はこの意味からも、セミナーのご成功をお祈りいたします。