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国際薬物乱用・不法取引防止デー(6月26日)に寄せる
潘基文国連事務総長メッセージ

プレスリリース 07/036-J 2007年06月21日

薬物乱用は予防、治療、そして統制が可能な問題です。不法作物の栽培者がまっとうな生計を立てるのを助けたり、法執行機関による薬物押収の成果継続を確保したりすることで、供給削減に向けた取り組みをさらに進めなければなりません。しかし、グローバルな薬物問題で最も大きな課題は、需要を減らすことだといえます。需要が減れば、供給の必要も減り、犯罪者が薬物密売にかかわる誘因もなくなるからです。

薬物乱用の防止は集団的な取り組みです。そのためには、政治的な指導力と十分な資源、特に治療施設の増設と改善が必要です。医療従事者やソーシャル・ワーカーだけでなく、親や教師の関与も必要になります。また、メディアや刑事司法関係者がそれぞれの役割を果たす必要もあります。

あらゆる人々が力を合わせ、脆弱な人々、すなわち個人や家族の状況により、薬物の誘惑を受けやすい人々と、薬物の使用によって弱い立場に置かれている人々に特別な関心を向けねばなりません。私たちの使命は、このような人々が薬物で一生を棒に振ることなく、自らの人生を支配してゆけるようにすることです。そのためには、若者に健全な指導と雇用機会、そして実り多い価値ある人生の設計に役立つ活動への参加機会を与えなければなりません。愛情をもって子どもを指導する親の努力も支援しなければなりません。また、疎外された人々にも手を差し伸べ、行動面、心理面、医療面での問題解決に必要なケアを受けられるようにしなければなりません。それはつまり、希望を持つように動機づけることです。

中毒症状と闘っている人々には、効果的な治療が欠かせません。薬物乱用という病気には、イデオロギーではなく、証拠に基づく治療が必要です。私は加盟国に対し、早期発見をさらに重視すること、HIVや肝炎をはじめ、薬物使用による病気の蔓延予防に一層の取り組みを行うこと、そして、薬物乱用の治療を公衆衛生・社会事業の主流に組み入れることを求めたいと思います。

薬物乱用は当事者にも、その家族にも苦痛と苦悩をもたらします。そして、家族や社会の人間関係を引き裂きます。私たちはすべて、この問題を自分のこととして捉えなければなりません。今年の国際薬物乱用・不法取引防止デーを機に、私たちの暮らしにも、そしてコミュニティにも、薬物が入り込む余地をなくしてゆこうではありませんか。