本文へスキップします。

  • プリント

ここから本文です。

国際青少年デー(8月12日)に寄せる
コフィー・アナン国連事務総長メッセージ

プレスリリース 06/049-J 2006年08月14日

 今年の国際青少年デーのテーマは「ともに貧困に取り組もう:青少年と貧困の根絶」です。

 世界で10億人を超える若者は、開発にとって大切な人材であるばかりでなく、革新や社会変革の主役となりうる存在でもあります。しかし、若者の多くは貧困に苦しみ、この潜在能力を発揮できないでいます。巨万の富を抱える世界で、15歳から24歳までの若者のほぼ5人に1人は、1日1ドル未満でぎりぎりの生活を強いられています。1日2ドル未満で暮らしている若者は、全体の半数にもおよびます。

 しかも、若者が全世界の労働力人口に占める割合は4分の1であるのに対し、失業者全体に占める割合は半数に上っています。高学歴者を除けば、労働市場は安定した将来性のある働き口を若者に提供できない状況にあります。まともな職に就けない若者たちは、特に貧困に陥りやすくなり、それが教育や基本的保健サービスの利用を妨げるため、さらに就職が難しくなるという悪循環に陥ります。長期的に、不利な立場に置かれた若者たちの行く手には、さらに大きな障害が待ち受けています。資産や資源、強力な社会的ネットワーク、家庭やコミュニティでの意思決定権など、着実な長期的雇用から普通に期待できる財産さえ手に入れられないかもしれないのです。

 私たちにとっての課題は明らかです。すなわち、教育、特に教育から雇用への移行について、より関心を強めることに他なりません。また、貧困対策を含む国家開発戦略の中心的目標として、生産的な完全雇用を実現するための若者の能力育成を据えなければなりません。

 専門家はこの現象を「貧困の若年化」と呼んでいます。国際社会はこれを認識し、1995年の「世界青年行動計画」の優先分野に指定しました。貧困を根絶し、ミレニアム開発目標(MDGs)を達成するためのグローバルな取り組みを進める上で、行動計画は若者を対等なパートナーとして扱ってきました。2005年の世界サミットでは、各国政府が開発課題に取り組む一層の決意を固め、青少年問題への取り組みに若者自身を参加させる新たな機会が生まれました。今年の国際青少年デーを機に、このチャンスを生かそうではありませんか。そして、私たち全体の利益のためにも、若者を支援し、その計り知れない潜在能力を引き出せるよう、さらに全力で取り組んでゆこうではありませんか。