国際薬物乱用・不正取引防止デー(6月26日)に寄せる
コフィー・アナン国連事務総長メッセージ
プレスリリース 06/037-J 2006年06月26日
薬物を使用するかどうかは、選択の問題です。しかし、十分な情報に基づいて選択をしなければなりません。けれども世界には、薬物がどれだけ破壊的な影響を及ぼすか、よく知らされていない人々があまりにも多すぎます。薬物乱用防止に向け、教育の改善と意識の向上に努めなければならない理由は、ここにあります。政府には、より一貫した指導力を発揮してもらうことが必要です。また、本来は模範となるべき人々が薬物を使用することで、自分たちだけでなく、さらに多くの人々に悪影響を与えているという現状も変える必要があります。
薬物は違法だから問題なのではなく、問題があるから違法なのだという認識を広めなければなりません。薬物は健康上、精神上の問題を引き起こします。薬物中毒になれば、使用者だけでなく、親しい人々も惨めな思いをすることになります。薬物を注射すれば、HIV/エイズをはじめ、致命的な病気の蔓延につながりかねません。薬物の破壊的な影響は、所得や人種、職業、地域の区別なく、あらゆる人々に及ぶのです。
特に、若者を重視した取り組みを実施しなければなりません。具体的には、アウトリーチ(教育や啓発の支援)による取り組み、若者同士のネットワークを通じた取り組みのほか、若者の積極性や健康、自信を保つためのスポーツなどの機会を活用した取り組みがあげられます。そのためには、親や教員に対しても、十分な役割を果たすよう働きかけなければなりません。
また、取り組みの一環として、法執行や、生産国との連携による農民への持続可能な合法的代替作物の提供を通じ、需要の削減にも努める必要があります。このような形で、貧困と薬物供給の両面での対策を図らなければならないのです。
国際薬物乱用・不正取引防止デーには、私たちがそれぞれの責任を果たさなければならないことを改めて自覚させる意味があります。皆様の取り組みを支援する力強い味方、それが国連です。人々が薬物をきっぱりと断るために必要な情報を発信してゆこうではありませんか。