砂漠化および干ばつと闘う世界デー(6月17日)に寄せる
コフィー・アナン国連事務総長メッセージ
プレスリリース 06/035-J 2006年06月16日
砂漠化、すなわち乾燥、半乾燥、乾性半湿潤地域における土壌の生物生産力の喪失は、人類が直面する最大級の脅威です。砂漠化は世界的な問題となっており、100カ国以上に住む世界人口の5分の1が被害を受けています。しかも、その影響は極めて深刻です。砂漠化の原因のひとつである貧困が、砂漠化によってさらに深刻化するという悪循環を生んでいるからです。砂漠化は他の問題と相まって、貧困にあえぐ農村部から都市部への移住を余儀なくすることが多い一方で、これを受け入れる都市自体もしばしば、このような移住者に十分な住居や雇用を確保できる状況にはありません。私たちが行動を起こさず、このままの状況が続けば、サハラ以南の砂漠化地帯から北アフリカやヨーロッパへ流出する人々の数は、2020年までに6,000万人に達するおそれがあります。全世界で見れば、実に1億3,500万人が移住を強いられるかもしれないのです。
その一方で、砂漠それ自体を保護することも急務となっています。それは生命に欠かせない生態系だからです。砂漠はまた、伝説に残るメソポタミアの肥沃な三日月地帯からシルクロード周辺、さらにはラテンアメリカの乾燥生態系に至るまで、数千マイルの距離を隔てた世界最古の、かつ豊かな文化を誇る文明の宝庫ともなってきました。今年の世界デーのテーマ「砂漠の美-砂漠化という挑戦(The beauty of deserts -the challenge of desertification)」は、このかけがえのない、しかも壊れやすい遺産をたたえ、その保護の必要性に関心を引きつけるものです。
今年はまた、砂漠と砂漠化に関する国際年、そして国連砂漠化防止条約発効10周年にあたります。この条約は、貧困を根絶し、持続可能な開発とミレニアム開発目標を達成するための取り組みの中で、重要な役割を果たしています。今年の世界デーにあたり、砂漠化防止条約の実施を加速するとともに、土地劣化と砂漠化の防止を目指し、さらに協調的な取り組みを進めることを決意しようではありませんか。