国際防災の日(10月12日)に寄せて
~コフィー・アナン国連事務総長メッセージ~
プレスリリース 05/086-J 2005年10月12日
*この国際デーは毎年10月の第2水曜日と定められています。
全世界の人々はこの1年で、自然災害とは無縁の場所などないことを思い知らされました。インド洋での大きな地震と津波からアフリカ諸国での干ばつやバッタの被害に至るまで、また、米国、カリブ海、太平洋でのハリケーンやサイクロンによる壊滅的打撃からヨーロッパやアジアでの大洪水に至るまで、自然災害によって数十万人の人命が失われ、数百万人が生活の場を奪われました。
私たちが学ぶべき教訓は、今年の国際防災の日のテーマ「防災に投資を(Invest to prevent disaster)」に集約されています。自然災害を止めることはできませんが、個人やコミュニティの防災への備えを高めることは私たちにとって可能であると同時に、義務でもあるのです。通常、天災の被害を受けやすいのは最も貧しい人々です。ですから、貧困を減らせば、災害に対する脆弱性も小さくできるといえます。
今年は「国際マイクロ・クレジット年」にもあたります。私たちはその意味で、従来型の金融機関をほとんど、あるいは全く利用できない人々のエンパワーメントを、少額融資を通じて助けることで、災害リスクの軽減と防災の強化にも大いに役立つことを認識すべきです。リスクの高い人々の所得を多様化し、災害保険を促進することにより、少額融資は事前の防災メカニズムを強化するだけでなく、災害後の復興も早めることができるのです。
このような革新的アプローチは、1月の国連防災世界会議で採択された「兵庫行動枠組み2005-2015」で求められたほか、9月にニューヨークの国連本部で開催された世界サミットでも再確認されています。
私たちがこの1年で学んだはずの貴重な教訓を踏まえつつ、私は今年の国際防災の日にあたり、あらゆるレベルの政府、国際機関、市民団体、そして民間セクターに対し、コミュニティの防災力を高め、人命を救うために、行動枠組みを実施に移し、貧困削減と防災に投資するよう呼びかけたいと思います。