国連憲章署名60周年に寄せる
コフィー・アナン国連事務総長メッセージ
プレスリリース 05/054-J 2005年06月24日
60年前、世界50カ国の代表はサンフランシスコで、国連憲章に署名しました。
連合国人民の名において、これら50カ国は、将来の世代を戦争の惨禍から救うことを誓ったのです。その文言は、人類全体の記憶の中に深く刻まれています。
各国は基本的人権、人間の尊厳、そして男女間および大国・小国間の平等な権利に関する信念をあらためて確認しました。
各国は、正義と法の尊重とを維持できる条件を確立することを誓いました。
各国は、より大きな自由を求めて社会的進歩と生活水準の向上とを促進することを約束しました。
以後60年間、国連はこれらの誓いを果たすよう努めてきたのです。
数多くの成功がありました。私たちは多くの場所で平和を維持しました。天然痘とポリオはほぼ撲滅しました。数百万人の子供たちに、親が夢にも見なかったような教育を施しました。アフガニスタンからブルンジに至るまで、各地で選挙の実施を支援しました。そして、インド洋津波のような災害の犠牲者に救援の手をさしのべました。
失敗もありました。中でも、ルワンダでのジェノサイド(大虐殺)を防げなかったことは、私たち全体にとって最大の失敗といえるでしょう。
今日、新世紀を迎えた私たちは、新たな脅威や挑戦に直面し、同時に新たな機会にも直面しています。
「より大きな自由を求めて生活水準を向上」させるという目標は、私たちの手の届く範囲にあります。その実現のため、私たちは開発、安全保障、人権という3つの側面すべてで進歩を遂げなければなりません。
国連の歴史上、今ほど勇断が必要な時期はありませんでした。また、それが可能な時期もありませんでした。
今年の9月、2005年世界サミットに参加する191カ国の指導者には、こうした決定を下すチャンスが訪れます。全世界の人民である皆さんからの支援と働きかけがあれば、決定は必ず下されることでしょう。