将来のための資金調達に向けたグローバルな動き
2002年03月18日
3月にメキシコのモンテレーで開かれる首脳級会合は、安定的でより豊かな世界共同体を築き、貧困削減およびその他の「ミレニアム開発目標」実現に向けた進歩を遂げる上で欠かせない事柄に取り組みます。
開発金融国際会議(FfD)は、国連総会により、世界の開発途上国と経済体制移行国の将来に鍵を握る以下の6つの分野につき、国際協力を促すことを委任されています。
- 各国国内の経済資源の動員を一層強めること
- 民間国際投資を増大させ、その対象範囲を広げること
- 市場アクセスを改善し、公正で公平な貿易体制を確保すること
- 政府開発援助を強化すること
- 解決への見通しがつきにくい開発途上国債務問題を解決すること
- 世界的・地域的金融構造の整合性を改善し、国際的な意思決定への開発途上国の公平な参加を促進すること
国連のコフィー・アナン事務総長も述べているとおり、資金分野における進展が見られなければ、2015年までに極端な貧困を半減させることをはじめ、ミレニアム・サミットで147人の首脳と191か国がすべて合意した目標の達成は危うくなります。
FfDには、国連とともに、国際通貨基金、世界銀行、世界貿易機関、および、市民社会と企業の代表が参加します。モンテレー会議のもう一つの際立った特徴は、財務大臣、外務大臣および首脳など、各国のハイレベル代表が出席することにあります。
モンテレーはなぜ重要か
国連のコフィー・アナン事務総長は2002年1月のFfD準備会合で、モンテレーで進展を期待する主要な分野を次のように取りまとめました。
- 政府開発援助の長期低落傾向を逆転させることによってミレニアム開発目標の実現を支援し、可能であれば、2~3年のうちに年間のODA総額を500億ドルから1,000億ドルへと倍増させることにより、2015年までに極端な貧困を半減させる。
- 資源を動員し、国内の金融機関を改善し、外国投資を誘致するために、開発途上国の国内で必要とされる政策に関する合意を強める。
- 包括的な腐敗対策国際条約の採択を支持することで合意し、貿易交渉に関する新課題について合意が達成されたドーハ会議の勢いを維持する。
- 「重債務貧困国」イニシアチブを実施、拡充するとともに、主権国家の債務危機を解決する新たな方法を通じたものを含め、中所得国の債務危機に対処することを公約する。
- グローバルな経済管理への開発途上国の参加を拡大する。
モンテレー会議は全体として、世界の指導者が開発政策に関する合意に達し、貧困削減のためのミレニアム目標達成へのコミットメントを示す機会となります。
詳しくは以下にお問い合わせください。
UN Department of Public Information
Room S-1040, United Nations
New York, NY 10017
Tim Wall
電話:1-212-963-5851
電子メール:wallt@un.org
あるいは
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電話:1-212-963-4382
電子メール:snydern@un.org
Published by United Nations Department of Public Information - DPI//2227/F - February 2002
人々の生活改善 - 国としての真の富
国民所得を増大させ、識字率を引き上げ、基本的な衛生設備と人間らしい生活水準を確保するという意味での開発は、ここ半世紀で大きな進展を遂げましたが、さらに多くの課題が残っています。開発目標を実現する可能性を現実のものとするためには、途上国、先進国双方、および、国際機関の努力をさらに強化する必要があります。
経済成長の究極的な恩恵が、人々の暮らしと生活条件の幅広い改善にあることは、すでに周知の事実です。そして、21世紀の経済学では、人間が最も重要な経済資源として認識されています。開発金融国際会議は、上記2つの提言を推し進める上で、現実的かつ実際的な機会となります。
前途には気の遠くなるような課題が控えています。開発途上国に暮らす46億の人々のうち、
- 約8億2,600万人は通常の健康的で活動的な生活を営むのに十分な食糧を得られていません。
- 8億5,000万人以上は読書きができません。
- ほぼ10億人はきれいな給水を受けられません。
- 約24億人は基本的な衛生設備を利用できません。
- 3億2,500万人近くの少年少女は学校に通っていません。
- 5歳未満の子ども1,100万人は毎年、予防可能な原因で死亡しています。
- 約12億人は1日1ドル未満で暮らしています。
しかし、これらすべての分野で大きな前進を遂げることは可能です。明らかな前例が存在しているからです。
最近まで国連開発計画の『人間開発報告』の編集を担当していたリチャード・ジョリー卿が引用する専門家の推計によれば、第2次世界大戦終結以来、予防接種、健康管理、公衆衛生および公共インフラなどの分野での国際的キャンペーンにより、世界の平均寿命は、有史以来の全期間を上回る伸びを示しています。
2001年版の『人間開発報告』によれば、過去30年間で、全世界の平均寿命は60歳から70歳に延びました。乳児死亡率は出生1,000人あたり100人から50人に低下しました。栄養不足の人々はおよそ9億人から約8億人へと減りました。そして、成人の識字率は60%強から80%弱にまで上昇しています。安全な水を利用できる農村世帯の割合も、ここ30年で5倍に伸びました。
こうした驚くべき前進は、開発途上国政府の国内政策やグローバルな経済成長だけでなく、援助や開発協力の成果でもあります。残念ながら、人間の存在条件におけるこうした潮流の変化は、見出しを飾ることなく、見落とされがちだったのです。
ミレニアム開発目標
2000年9月のミレニアム・サミットでは、総勢147人の首脳と191か国が、開発と貧困根絶のための具体的目標を定めた「ミレニアム宣言」を採択しました。これらの目標は、1990年代の国連会議、ならびに、世界銀行、国際通貨基金(IMF)および経済協力開発機構などの国際機関での討議から生まれた国際的開発目標を一本化し、拡大したものとなっています。
2015年までに、乳児死亡率を3分の2引き下げ、リプロダクティブ・ヘルス・サービスを必要とする人々すべてにアクセスを提供し、環境資源の損失を逆転させるという目標を達成するとともに、2005年までに持続可能な開発のための国内戦略を実施することに加え、世界の指導者たちは、以下の約束も行っています。
- 1日1ドル未満で暮らす世界の人々の割合を半減させること
- 世界で飢餓に苦しむ人々の割合を半減させること
- 世界で安全な飲み水を利用できない人々の割合を半減させること
- 初等教育を完全に普及させること
- 教育を受ける際の男女平等を実現すること
- 妊産婦死亡率を4分の3引き下げること
- 5歳未満の幼児死亡率を3分の2引き下げること
- HIV/エイズ、マラリアおよびその他主要疾病の蔓延を食い止め、逆転させること
これら目標達成の見込みはどうなっているでしょうか。初等教育の完全普及と教育における男女平等という点では、多くの開発途上国がすでに目標を達成しているか、達成に向かって進んでいるという明るい見通しがあります。さらに、世界人口の60%以上が暮らす43か国では、飢餓に苦しむ人々の数を半減させるという目標が達成されたか、達成に向けた前進が見られています。
しかし、その他の分野には、データが入手できる国々の半分以上が、その前進を大きく加速しない限り、目標を達成できないと見られているものもあります。各国がこれら目標の達成に向けた行動戦略を策定する場合の助けとなるよう、国連事務総長は「ロード・マップ」を作成しました。これは現状の総合的かつ包括的な概観で、進むべき道を提案し、最善慣行に関する情報を共有するものとなっています〔A/56/326〕。
開発目標の値札
開発目標達成には膨大な資源が必要となりますが、その数字は決して天文学的なものではありません。国連事務総長が任命し、メキシコのエルネスト・セディージョ前大統領が議長を務めるハイレベル・パネルは2001年6月、現状レベルの開発援助(世界全体の所得比では30年ぶりの最低水準にあたる約500億ドル)に加え、年間500億ドルがさらに必要になると推計しました。2002年1月に発表された世界銀行のさらに詳細な調査でも同様に、400億~600億ドルの追加援助で、ミレニアム開発目標の達成が可能と試算されています。
世界銀行とIMFによれば、開発目標達成のためにはさらに、開発途上国内の健全な政策と統治の枠組み、譲許的な外部資金の入手可能性、ならびに、世界の最も豊かな諸経済の市場に対する開発途上国のアクセスを阻む障害の削減も必要となります。
Published by United Nations Department of Public Information - DPI/2227/D - February 2002
開発援助への質・量両面の取組み
2015年を期限として極端な貧困を半減させるという国際的に合意された目標を達成するためには、開発援助額を倍増させ、年間1,000億ドル以上としなければならない可能性があります。援助が非効率であるという認識が障害となっているものの、援助の設計と実施面での改善も進んでいます。
政府開発援助(ODA)は、2002年3月にメキシコのモンテレーで開かれる開発金融国際会議での最重要議題の一つとなります。それは財政困難に陥っている被援助国にとって重要であるだけでなく、すべての国々にとってより安定した未来を実現する上で不可欠な投資としての重要性も備えています。
開発援助額は全体として、ここ30年間、減少傾向が続いています。
平均で見れば、援助国の国民総生産(GNP)に占めるODAの割合は、国際社会がGNPの0.7%をODAに向けるという目標をはじめて採択した1970年の時点で、すでに低下を始めていました。1990年代前半までに、この割合は0.3%から0.35%で横ばいとなりましたが、その後再び低下しています。2000年の時点で、経済協力開発機構の開発援助委員会22カ国のODAは、そのGNPの0.22%となっています。0.7%目標を公約していない米国を除いても、平均は0.33%に過ぎません。
ODAの絶対額(物価調整なし)は1992年まで着実に上昇を続けていました。しかし、この絶対額でさえ、1992年の600億ドル超という最高水準を回復していません。ODAは1999年の564億ドルから2000年には531億ドルへと、名目で6%、物価と為替レートの変動を考慮すれば1.6%の減少となっています(『国連世界経済社会調査2001』)。
1990年代のODA減少の原因は、援助国の財政赤字にあるとする向きもあります。しかし、1990年代半ば以降、ほとんどの援助国の財政収支は大きく改善しています。その他、1990年代の援助減少の理由としては、冷戦終結による援助動機の喪失、ODAによるプログラムとプロジェクトの実効性に対する根強い疑念、および、開発途上国に対する民間資本の流入増大などの重要な要因があげられています。(この最後の点は極めて論議の多いものです。民間資本は通常、ODAの要請対象となるものにほとんど関わっておらず、かつ、最もODAへの依存度が高い国々は、外国の民間投資家から見込みのある投資対象と見なされないことが多いからです。)
一人当たりGDPが900ドルに満たない49カ国の後発開発途上国(LDC)にとって、ODAは依然として必要不可欠なものです。1998年の時点で、ODAは48の後発開発途上国への資金流入総額の84%を占めていました。同年、すべての開発途上国への長期的資本流入額のうち、LDCが受け取ったのは4%未満に過ぎませんでした。
ミレニアム開発目標の達成
最近になって、30年間減少を続けた援助額が再び上昇に転じるかもしれない兆候が現れています。英国は、その援助額を1997年のGNP比0.26%から2003~04年に0.33%にまで引き上げることを公約したほか、2001年11月には、EU各国の開発協力担当大臣が、GNP比0.7%のODA目標を達成する期限を設けることで合意しました。米国での同時多発テロ事件以降は、開発への投資を増額する必要性が幅広く取り上げられるようになっています。
しかし、一部の援助国政府は、ODAを削減する意思を表明しているため、純増額がどれだけになるかは定かでありません。国連事務総長が2001年に任命したハイレベル専門家によるセディージョ委員会は、ミレニアム開発目標を達成するために500億ドルの追加的援助を求めましたが、これは現在のODA総額の約2倍に当たります。このためには、援助国による協調的な努力が必要となるでしょう。
世界銀行によれば、2015年までに開発途上国での低所得型貧困を半減させる目標(2000年9月にミレニアム・サミットで加盟国が合意したもの)は、実現できない可能性が高まっています。一部の開発途上国では、貧弱な政策によって開発プログラムの実効性、ひいては援助全体の実効性が損なわれています。このような場合には、人道援助以外の援助を差し控える傾向が高まっています。しかし、他の国々の中には、強力な政策を推し進め、追加的援助を有効に活用できるものもあります。この場合の問題は、十分な援助が提供されるかどうかという点にあります。
「モンテレー(会議)は、政府開発援助の歴史における転換点としなければなりません。」
国連のコフィー・アナン事務総長は、2002年1月の開発金融準備委員会会合でこう語りました。「ミレニアム開発目標へのコミットメントが真剣なものであることを示すためには、ODAの減少継続を許すことはできないのです。」
援助の実効性
近年、援助の実効性の前提条件に対する理解が急速に深まっています。これは 2つの基本的な原則を中心とするものと考えられます。ひとつは、貧困を削減すべきであるということ。そしてもう一つは、被援助国の政府と市民社会が策定に参加し、自分たちのものとしての感覚を抱けるような政策に依存すべきであるということです。
調査によれば、子ども、栄養および緊急援助などを目的としたプログラムに対象を絞れば、援助が貧困に直接的な影響を及ぼせることが明らかになっています。より大事なことは、改革をもたらしうる国内環境を備えた国々では、援助が重要な支援の役割を果たすことができるということです。このことは、改革プロセスに対する国民的コミットメントの重要性を強く示しています。援助国のビジョンや優先順位で援助を条件づけるよりも、被援助国の発意による改革努力が重要だという認識が広まりつつあります。
援助の実効性の障害となる問題には、援助国側に原因があるものもあります。
広く非難の対象となっているものに「タイド(ひも付き)」援助があげられます。これは、プロジェクトの物資調達先を援助国の企業に限定するものです。
2001年5月に開かれた経済協力開発機構(OECD)のパリ会合では、前向きな動きが見られました。援助国はさらに、LDCへの援助20億ドルを「アンタイド(ひもなし)化」することで合意したのです。
もう一つの問題として、複雑な、時には矛盾した援助基準があげられます。
OECD援助国22か国と幅広い国際機関は、それぞれ独自の意思決定、モニタリングおよび評価のシステムを持っています。報告義務を果たすだけでも、援助国には膨大な書類事務と職員が必要です。援助機関間の調整改善が必要との認識が高まっており、要件と報告書式を統一しようとする努力が続けられています。
Published by United Nations Department of Public Information - DPI/2227/H - February 2002
債務対策
各国は借入れによって、その投資額を効果的に増大させてきましたが、一部の国々はその過程で債務に押しつぶされ、国民のニーズを満たし、経済成長を維持する能力が損なわれてしまいました。「開発金融会議」は、最終的に債務の罠を取り除く手段、そして、そのための政治的意志の構築に関するコンセンサスの醸成に資することができます。
外国の債権者に対する開発途上国の多額の債務がはじめて大きな問題となったのは、1980年代初めのことでした。金利の高騰で返済額が膨れ上がったことから、累積債務は国際収支危機へと発展しました。その一方で、輸出市場である先進国でオイルショックと景気後退が起こったことで、開発途上債務国の返済能力は損なわれたのです。
その間、49か国の「後発開発途上国(LDC)」をはじめとする最貧国は、主として政府と国際金融機関から、ますます多額の借入れを行うようになりました。1976年の時点で、対外債務の対国内総生産(GDP)比が50%を超過し、かつ、総輸出額に対する対外債務の比率が200%を超えていたLDCは、データが入手できる28か国のうち2か国に過ぎませんでした。しかし、1987年までに、LDCの4分の3がこれらの比率を超過するに到りました。同年、LDC19か国(ほとんどがアフリカ諸国)は、先進債権国が集まるパリ・クラブに赴き、債務の繰延べを受けました。
1990年代前半までに、「ブレイディー・プラン」により、危機に陥っていたほとんどの中所得国の銀行に対する超過債務は削減されましたが、それでも債務問題は解決されず、低所得国ではさらに悪化しました。例えば、1998年には、GDPに対する債務の割合がモザンビークで210.8%に達したのをはじめ、ラオスでもこの比率が93.3%、さらにスーダンでは162.5%にも上りました。
1998年のLDC全体の債務返済総額は44億ドルで、その輸出総額の12%程度に当たっています。しかし、この大きな金額は実際の返済額で、返済期日到来金額ではありません。同年の累積債務総額のうち、延滞額は30.4%を占めていました。
1990年代末までに、低所得国だけでなく、重債務中所得国も債務の罠を逃れていないことが明らかになりました。最初にメキシコ、次に東アジア、後にロシア連邦、さらにはエクアドル、ウクライナおよびパキスタン、そして最後にトルコとアルゼンチンが、次々と債務関連の金融危機に陥ってゆきました。しかも、これら国々は国際的な銀行借入れを減らし、国際的な債券発行への依存度を高めていたため、危機発生後の債務返済を繰り延べる上で、広く合意されたメカニズムが存在しなかったのです。
2002年3月にメキシコのモンテレーで開催予定の国際開発金融会議(FfD)の準備プロセスでは、債務救済を含め、中所得、低所得双方の重債務開発途上国に対する金融・技術支援の重要性が話し合われています。このプロセスへの参加者からは、国際通貨基金(IMF)や世界銀行など、国際金融機関による政策行動の柔軟化、ならびに、LDC、小島嶼・内陸国、および、自然災害に見舞われたり、交易条件の急激な悪化に苦しんだり、紛争から立ち直る過程にあったりするその他の貧困国に対する速やかな債務救済を求める声が上っています。
中所得国の債務に関する政策課題は、このキットの「制度改革」に関する背景資料で論じられています。ここでは、特に低所得国の関心事項について触れることとします。
重債務貧困国イニシアチブ
FfD準備プロセスで各国政府は、「重債務貧困国(HIPC)イニシアチブ」の速やかな全面的実施を求めています。これは、世界で最も貧しく、最も債務の重い国々を対象とする主要な国際的債務救済プログラムです。HIPCイニシアチブは1996年、「ジュビリー2000」が率いる非政府組織の連合体が喚起した世論の圧力に対応して、世銀とIMFが発足させました。多くのNGOは引き続き、HIPCをはじめとする国々の債務危機の全面解決を強く求めています。
これまでの債務救済の仕組みとは異なり、HIPCイニシアチブは、IMF、世界銀行およびその他国際金融機関に対する債務からの初の救済を含め、債務総額を大幅に削減する必要を考慮したものとなりました。しかし、これでも十分ではありませんでした。1999年、債務救済を貧困削減措置に対する支援により直接的に結びつける傍ら、「より幅広い、より多額の、かつ、より速やかな」救済を提供すべく、イニシアチブの拡充が図られました。HIPCイニシアチブの対象となった42か国のうち、24か国は「決定点(decision point)」と呼ばれる重要な基準点を通過しました。これらの国々は順に、約360億ドルの債務返済免除を受けることになっています。
拡充されたHIPCイニシアチブは、これら国々の累積債務額を半減させ、債務返済額をおよそ3分の1削減することになっています。ところが、貧困国が通常、輸出している商品の価格が下落を続け、国際貿易が景気減速の影響を受けつつある中で、こうした前進さえ危ぶまれる状況にあります。
国際開発金融会議の準備プロセスでは、各国の債務返済能力はミレニアム開発目標達成を目指すプログラムに関する資金調達能力との関連で評価されるべきであり、債務返済がその達成を損なうべきではないとする論点も示されています。(2015年までに全世界の極端な貧困を半減させることを含むミレニアム開発目標は、2000年9月に国連で開催されたミレニアム・サミット会合で、147人の首脳と191か国が採択したものです。)
また、開発途上国代表の中には、重債務貧困国の救済加速により、他の開発途上国が受け取る援助を減額されたり、支払う利子を引き上げられたりすることがあってはならないとする向きもあります。こうした主張によれば、開発金融から資金を取り去らないためには、主として無償援助と極めて有利な借款という形で、政府開発援助を増額し、債務救済を補完する必要があります。
Published by United Nations Department of Public Information - DPI/2227/G - February 2002