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国際民間航空出典「国連の基礎知識」

2015年、35億人以上の乗客が民間航空を利用し、5,100万トンの貨物が空輸され、航空機の出発回数はこれまでの最高の3,400万回を記録した。国際民間航空機関(International Civil Aviation Organization: ICAO)(www.icao.int)は国連の専門機関の一つで、加盟国間の協力、世界の航空界との協力のためのグローバルなフォーラムとしての役割を果たす。ICAOの現在の使命は、最高の効率をもって一貫して一様に運行し、かつ最善の安全、保安、持続性を提供するグローバルな民間航空体制を育成することである。ICAO活動の指針となるのは戦略目標で、すなわち国際航空の安全、保安、能力と効率、経済開発、そして環境保全である。

こうした目標の達成のために、ICAOは以下のことを行う。

  • 航空機とその設備の設計と性能、航空会社のパイロット、乗務員、航空管制官、地上要員および整備要員のパフォーマンス、それに、国際空港における安全確保と出入国手続きについての国際基準や勧告を採択する。
  • 肉眼飛行もしくは計器飛行の規則や国際航空に利用される航空図を作成する。また、航空機の通信システム、周波数、保安手続きにも責任を持つ。
  • 航空機の排気ガスを減少させ、騒音を制限することによって航空機が環境に及ぼす影響を最小限にする。
  • 税関、入国、公衆衛生、その他の手続きを標準化することによって航空機、乗客、乗務員、手荷物、貨物、国境を越える郵便物の移動を容易にする。
  • 経済社会開発にたいする航空の重要な貢献を明らかにし、国際航空の接続性を促進する政策や規則を発展させる国を支援する。
  • 民間航空ネットワークの持続可能な開発を支援、育成するグローバルな戦略計画を準備する。

不法妨害行為は国際民間航空の安全と保安にとって重大な脅威である。ICAOは引き続きその防止のための政策や対策を進めている。2001年9月11日のアメリカ同時多発テロに応えて、ICAOは航空保安行動計画を発足させた。それには、保安基準の実施を評価する普遍的な監査計画も含まれる。ICAOはこうした攻撃に応えて、必要に応じてとるべき是正措置を勧告する。ICAOのこの面での作業は、いくつかの安全保障理事会決議に基づくものである。

2016年の第39回総会において、ICAOは航空輸送の課題と優先事項について新しい合意と宣言を採択した。総会には記録的な2,500人の代表が参加し、航空機の排出ガスが気候変動に及ぼす影響を軽減することに関する歴史的な決議を採択し、ICAOの「グローバル航空安全計画」、「グローバル航空計画」、「ICAOグローバル航空保安計画」のコンセプトを支持した。第40回総会は2019年年9月と10月に開かれる。

ICAOは開発途上国からの要請に応えて、航空運送システムの改善や航空要員の養成を支援している。いくつかの開発途上国では地域訓練センターの設立を支援した。ICAO支援の基準は、ICAOの国際標準勧告方式に従って、民間航空を安全かつ効率よく運行するために加盟国は何を必要としているか、である。

ICAOはIMOやITU、WMOのような国連の専門機関との緊密な協力の下に活動する。国際航空運送協会(International Air Transport Association)、国際空港協議会(Airports Council International)、国際航空パイロット協会連盟(International Federation of Airline Pilot Associations)、その他の国際機関も、ICAOの多くの会議や会合に参加する。