世界の国々の開発促進
国連開発計画(United Nations Development Programme: UNDP)(www.undp.org)は、貧困の撲滅および不平等と排斥の撤廃に貢献すべく全力を傾けている。UNDPは健全な政策助言を行い、公平な経済成長を生み出すような組織能力の構築に努める。UNDPは、170カ国以上の国々で人々が自立できるように支援している。とくに力を入れていることは、これらの国々が各種の挑戦に応えて自分自身でその解決を見出せるようにすることである。たとえば、貧困削減、民主的なガバナンス、危機防止と復興、環境と持続可能な開発、そしてSDGsの達成である。UNDPはそれぞれの領域において、人権の擁護と女性のエンパワーメントを主張する。
UNDPのコア活動資金のほとんどが、世界のもっとも貧しい人々を抱える国々へ振り向けられる。
2014-2015年の期間で、中核基金のおよそお90パーセントが低所得国へ向けられ、そのうちの70パーセントが後発開発途上国宛であった。1990年から2015年にかけては、極度の貧困の中で生活する人の数は50パーセント以上減少した。しかし、進歩は地域によってばらつきがあった。開発途上地域ではおよそ5人に1人が1日1.25ドル以下で生活し、そうした人々の圧倒的多数が南アジアとサハラ以南のアフリカに住んでいる。8億3600万人の人々は依然として極度の貧困のもとに生活している。
UNDPへの拠出は任意で、世界のほとんどすべての国の政府から拠出を受ける。2015年にUNDPが受けた拠出総額は45億ドルであった。7億300万ドルが正規の資金源で、38億ドルがその他の資金源からであった。UNDP管理の支援を受ける国も人員、施設、設備、備品などの提供によってUNDPプロジェクトの費用を負担する。
グローバルな開発援助資源から最大の効果を得るために、UNDPは、国連の他の機関や世界銀行、国際通貨基金のような国際金融機関との活動を調整する。さらにそれに加え、UNDPはその国別や地域別の援助計画を進めるにあたっては、開発途上国の人々や非政府組織の人々の専門知識を活用する。UNDP支援プロジェクトの圧倒的多数が現地の機関によって実施される。
国のレベルでは、UNDPは国連の開発援助に対して統合されたアプローチを行う。いくつかの開発途上国では、UNDPの国連開発援助枠組み(United Nations Development Assistance Framework: UNDAF)※が設けられている。これは、多くの場合UNDPの現地駐在代表が兼任する国連現地常駐調整官のリーダーシップのもとにおかれる各種国連チームで構成される。援助枠組みは、政府が国連に提示する開発課題に対して調整の取れた対応を取れるようにするためのものである。現地常駐調整官は、人為災害、自然災害、複雑な緊急事態に際しては人道援助の調整官も務める。
UNDPは、正規の活動に加え、各種の特別の目的を持つ基金も管理する。国連資本開発基金(UN Capital Development Fund: UNCDF)(www.uncdf.org)は、後発開発途上国において小口融資や現地の開発を進めるために投資資本、能力強化、技術諮問サービスの組み合わせを提供する。
国連ボランティア計画(United Nations Volunteers: UNV)(www.unv.org)は、国連の平和と開発の活動でインパクトを与えるためボランティアを動員し、ボランティア活動の価値とそれについてのグローバルな認識を高める国連機関である。2015年、153カ国の6,800人近くのボランティアが世界の各地へ派遣された。
※現在、その名称は、「国連持続可能な開発協力枠組み(UN Sustainable Development Cooperation Framework)」に変わっている。国レベルでの、2030アジェンダ履行支援のための国連開発活動の計画・実施において最も重要なツールであり、国連開発システムと各国政府との現代的な関係をより正確に反映する。