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子どもの権利と福祉の促進出典「国連の基礎知識」

5歳を迎える前に死ぬ子どもの数は1990年から2015年の間に50パーセント以上も減少した。こうした前進にもかかわらず、2015年、590万人の子どもたちが5歳の誕生日を迎えるまで生きることができなかった。貧しい家庭の子どもは豊かな家庭の子どもに比べ、死亡する例は2倍近くになる。15歳以下でHIVに感染している子どもの数は260万人に上るが、そのうちで治療を受けているのは3人に1人である。アフリカではエイズが依然として青年期の人々の主要な死亡原因である。青年期の女性はとくに感染のリスクが高い。およそ2億5000万人の小学生は、進級するものの、読み書きができないばかりか、基礎的な算数もできない。7,500万人の子どもや青年期の若者は危機によって教育が中断されている。女児は男児に比べ、未就学の割合は2.5倍も高い。さらに、世界の何百万という子どもたちが暴力、搾取、虐待、ネグレクトにさらされている。

国連児童基金(United Nations Children's Fund: UNICEF= ユニセフ)(www.unicef.org)は、すべての子どもの権利を促進し、誕生の地、生まれ育った家庭、人種、民族性もしくはジェンダーに関係なく、また彼らが貧困のうちに生活していても、たとえ障害があっても、すべての子どものが生存し、発達し、その最大の可能性に到達できる機会を持てるようにする事業を進める。ユニセフは「子どもの権利に関する条約」と「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」の完全な実施を目指す。また、190の国や地域で、政府、国際機関、市民社会とのパートナーシップのもとに、貧困、暴力、病気、差別など、子どもたちが直面する障害を取り除くことに努めている。

SDGsは、すべての子どもの健康と福祉に関係する目的を組み入れている。同時に母子健康管理へのアクセス、幼児期の発達、出生届、質の高い学習と教育課程修了、ジェンダーの平等、幼児結婚の停止、人道的行動と開発事業との統合が極めて重要であることを強調している。世界の国々の政府が「だれ一人取り残さない」、「もっとも遅れているところに第一に手を伸ばすべく努力する」とのコミットメントを行ったことを受けて、ユニセフのプログラムは子どもを開発の中心に置くとのコミットメントに即した活動を進める。ユニセフは、最大の危機にあり、もっとも困窮している、もっとも脆弱な子どもたちに手を差し伸べている。

そのパートナーとの協力で、ユニセフは七つの成果に貢献する。健康、HIV/エイズ、水と公衆衛生と衛生、栄養、教育、子どもの保護、社会的包摂である。ユニセフが支援する活動は、気候変動が子どもに及ぼす影響から青年期の健康や福祉の問題にまで及ぶ。また、質の高い教育やジェンダーの平等を促進し、幼児結婚、子どもに対する暴力やその他の虐待を終わらせる活動も網羅する。2015年、ユニセフとそのパートナーは1,490万の子どもたちに学習教材を、348,000のクラスに教育教材を提供した。また、22億7000万ドル相当の健康関連の供給品を購入した。それには28億の予防接種が含まれ、それによって95カ国で5歳以下の世界の子どもたちの45パーセントが予防接種を受けた。

ユニセフはまた、子どもの問題に関する専門知識を持つリーダーで、グローバル、地域の調査研究のイニシアチブを通して成果を上げている。