開発と平和のためのスポーツの国際デー特集シリーズ
スポーツの力を平和と開発のために~第6回~ 国連ボランティア計画(UNV)の取り組み
UNVは、スポーツを通じて、貧困や自然災害に立ち向かうために必要とされるボランティア精神を広めています。2014年に初めて実施される「開発と平和のためのスポーツの国際デー」に際し、UNVからスポーツと開発に関する事業について伺いました。
1. 貴機関におけるスポーツの位置づけ・方針はなんですか
UNVは、若者のスポーツに対する関心と若者がスポーツを通じて得るものが、開発、平和、ボランティアリズムなどを推進するための手段のひとつになると考えています。
スポーツ・イベントや活動におけるボランティア活動は、ボランティア個人がコーチング、審判、運営・管理、設備管理などに関わることにより、社会の絆を強化することに貢献します。
UNVは、多くの国連の開発と平和構築の活動に参加し、異なる民族背景を持つ若者を統合し平和を構築する一環として、戦争で疲弊した国でのスポーツ活動を推進しています。
3. 貴機関が行うスポーツに関するプロジェクトをひとつご紹介ください
a. プロジェクト名
Young Football Volunteers: Sport and Volunteering for MDGs(ミレニアム開発目標達成に向けたスポーツとボランティア活動:若者によるサッカーボランティア)
b. 目的
ミレニアム開発目標6の達成に貢献し、サッカーやスポーツが、若者の育成のために持つ社会的・教育的効果を強化することで、社会の絆を強化し、若者の身体的・社会的健康を向上させることを目的としています。
c. 場所
ウクライナ(クリミア自治共和国、ヘルソン州、ミコライフ州の3地域)
d. 期間
2012年5月から2014年12月
e. 概要
サッカーの練習と生活に必要な技能教育を組み合わせることで、若者が、サッカーを楽しみながら、生活に必要な知識を得ています。
f. 評価・課題(これまでの成果を含む)
(1)345名のボランティア・コーチ/体育教師がサッカーを通じて、地方の学校の若者のHIV/AIDS教育/ボランティア活動を支援しました。
(2)MDGs、ジェンダー平等、市民参加を啓発するスポーツ・イベントに参加した若者は、7,961名以上になります。
4. スポーツの活用について、今後の展望を教えてください
2020年の東京オリンピック・パラリンピックでは、大会運営ボランティアだけで史上最大の8万人を動員することが公表されています。このスポーツ・イベントが、地球規模課題に対する取り組みへの社会参加、社会包摂を推進する機会になることを期待しています。
5. コメント(特に日本の若者へのメッセージや協力の呼びかけなど)をお願いします
今回紹介したウクライナのサッカーボランティア・プロジェクトには、関西学院大学4年生の呉原郁香(くれはら・あやか)さんが、2013年9月から約6ヶ月間にわたり国連ユースボランティアとして携わりました。
以下は、呉原さんからのメッセージです。
「プロジェクトでは子どもたちのロールモデルである体育教師やコーチを通じて、エイズ教育を行います。彼らが普段、スポーツ教育を通じてその技術を子どもたちに指導するように、親身にエイズ教育を行うことによって、子どもたちはよりエイズに関する問題を身近に感じることができます。子どもたちはスポーツ技術の向上に加え、エイズ教育やボランティア活動などから多くのことを学び、コミュニティ内でよりアクティブに活動している印象を受けました。今後、エイズ教育だけではなく、スポーツは他の課題の啓発にも活用できるのではないかと、スポーツの可能性を強く感じました」
UNVでは、ボランティアやインターンなどの場を提供することで、若い方々との関わりを深めています。若い方々の積極的な参加をお待ちしています。