働きがいも経済成長も
包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する。おおむね世界人口の半数が未だに1日およそ2ドル以下相当の生活をしている。あまりにも多くの地で、仕事を持つことは貧困からの脱出を保証するものではない。国民一人当たりの国内総生産の年間成長率は2014年に1.3パーセント上昇した。2010年(2.8パーセントの成長)と2000年(3.0パーセントの成長)に比べ大幅な減速である。開発途上地域は開発先進国に比べ成長率は速かった。2014年の平均性成長率は、それぞれ3.1パーセントと1.4パーセントであった。2005年から2015年にかけての労働生産性は開発途上国では上昇したが、開発先進国の価値は開発途上国の2倍以上で、サハラ以南のアフリカや南アジアの価値のおよそ20倍であった。
世界の失業率は2015年で6.1パーセントであった。これは2009年にピークであった6.6パーセントからのダウンであるが、これは開発先進国における失業率が低下したからであった。失業が及ぼす影響はそれぞれの人口集団によって異なる。世界的に、女性や若者(25歳から24歳まで)は男性や成人(25歳以上)に比べ失業に直面しやすい。SDG 8は、強制労働、人身売買、児童労働をなくする一方で、すべての人に完全かつ生産的な雇用の機会を提供することを目指している。
2015年ミレニアム開発目標報告は、グローバルな経済は緩やかな成長、不平等の拡大、混乱を合わせた新しい時代に入り、増大する労働力に見合うほどの雇用の拡大は速くなかったことを示していた。人口対雇用の比率、すなわち、雇用されている労働年齢人口は1991年の62パーセントから2015年の60パーセントへと下がった。2008年から2009年にかけてのグローバルな経済危機による経済の低迷が原因であった。ILOによると、2015年の失業者数は2億400万人に達した。これは経済危機が始まる前よりも3,400万人多く、1991年に比べ5,300万人多い数であった。
若者雇用計画(Youth Employment Programme)
世界的に若者の失業者は7,100万人に達し、1億5,600万の若者が貧困の中で生活している。若者の雇用がグローバルな課題であるばかりではなく、最大の政策課題でもある。ILOは長年にわたり若者のためのディーセント・ワークを推進してきた(https://www.ilo.org/global/topics/youth-employment/lang--en/index.htm)。ILOの若者の雇用に関する活動には若者支援、知識開発と周知、政策と技術的アドバイス、能力開発サービスなどが含まれる。
その他雇用に取り組む一環として、事務総長はウェルネル・ファイマン(オーストリア)を2016年9月に若年者失業担当特使に任命した。