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アフリカ、起業家に期待を寄せる

若者の失業対策に活用できる有用な戦略

筆者:ラファエル・オボニヨ
『Africa Renewal(アフリカ・リニューアル)』 2016年4月号に掲載

ファッションハウス「メイド・イン・キガリ」のルワンダ人オーナー、スコルピオ・R・フリーさん(26)
Photo: Panos/Sven Torfinn

 

大半のアフリカ諸国が伝統的な所得源の多様化を図る中で、起業は経済成長の鍵を握る手法としてますます認識が高まっています。起業家たちはこれまでに巨額の収益を得ており、専門家も、起業にはアフリカ大陸を次の開発段階へと進めるために活用できる大きな潜在能力が備わっていると指摘しています。

英国を本拠とするビジネス・ネットワーキング・グループApproved Indexは、2015年6月に調査結果を発表し、アフリカを起業ランキングでトップレベルと評価しました。アフリカの台頭を物語るかのように、報告書『Entrepreneurship around the World(世界の起業)』では、ウガンダ、アンゴラ、カメルーン、ボツワナの4カ国が起業上位10カ国に名を連ねています。同グループは、失業率が高い状況での起業を「必須」とみなし、「失業率が高く、景気が低迷する時期には、人々が零細企業を立ち上げ、自分と家族の生計を立てることを迫られる」と述べています。

アフリカでは現在、起業が最も持続可能性の高い雇用創出手段の一つとされています。人権擁護活動家のロスリン・ブシアさんは、アフリカ開発銀行の2014年報告によると、ウガンダの若年失業率が83%と、アフリカでも最も高い状況にあることを指摘します。

失業はアフリカ全体で不安材料となっています。ワシントンDCを本拠とするシンクタンク、ブルッキングス研究所が2013年に行った調査によると、アフリカでは若者(15-24歳)が労働力人口全体のおよそ37%を占めています。しかし、この年齢層がアフリカの失業者全体に占める割合は、約60%に達しています。

ナイロビを本拠とするシンクタンク Institute of Economic Affairsのクワメ・オウィノさんは、次のように述べています。「多くのアフリカ諸国では、若年人口の多さ、不十分な政策、そして包括的な雇用計画の欠如が、失業率上昇の大きな要因となっています」

ブシアさんは、積極的な取り組みの例に触れています。「ウガンダ政府は、能力開発、資源の提供、市場へのアクセスに重点を置く起業戦略を実施しています。この取り組みは結実しつつあるようです」

起業の重要性は、2015年7月にケニアの首都ナイロビで開催された「グローバル起業サミット(GES)」でも強調されました。この会合には、バラク・オバマ米大統領のほか、100カ国以上の起業家と米国の投資家グループも出席しています。

サミットで発言したオバマ大統領は、アフリカにとっての起業の将来性を称賛し、GES参加者も、全世界で最も若い人口を抱える地域であるアフリカが若年失業問題に取り組むうえで、起業は重要な手段の一つになるとして、これに賛同する意見を述べました。

オバマ大統領はサミットで次のように述べています。「起業は、新たな雇用と新たなビジネス、基本的サービスを届ける新たな方法、そして世界に対する新たな見方を生み出すことで、繁栄の火付け役になります」

『フォーブス・アフリカ』誌が、最も将来性のある若きアフリカ人起業家の一人に挙げているエバンス・ワドンゴさんによると、多くのアフリカ諸国政府は、若者の失業を大幅に減らすための政策を積極的に進めていません。

ワドンゴさんはこう語っています。「各国政府の取り組みは不十分です。民間セクターは努力しているものの、アフリカ市場には中国製品があふれています。これによって、若者は労働集約性が比較的高い製造業で、不可欠な雇用を奪われてしまっているのです」

成功が成功を生む

しかし、ケニアのアダン・モハメド産業化・企業開発長官は、ほとんどのアフリカ諸国の政策を擁護し、こうした取り組みがアフリカ大陸への信頼を高め、より多くの若者が起業の道を選ぶことを可能にしていると言います。

「成功が成功を生むのです。多くの起業家が成果を上げれば、これに加わる者も増えてきます。テクノロジーを基盤とする発明も、起業家を引きつける要素となります。考え方に変化が見られ、自分自身を雇用主と考える若者も多くなってきました。アフリカの多くの国々では、政府が金融と市場へのアクセスという機会をつくり出しているのです」モハメド長官はこのように述べています。

ウガンダのルハカナ・ルグンダ首相は、アフリカにおける外国投資の増大と経済成長について触れ、起業文化の推進を図るウガンダ政府の取り組みが「顕著な成果」を生んでいると述べています。例えば、国営の「ユース・ベンチャーキャピタル基金」は、優れたビジネスアイデアを持つ若者を養成し、資金を提供しています。 政府はまた、若年起業家がその商品を売り出す際の支援も行います。

最も重要なのは、若者が人口の75%以上を占めるウガンダで、中等学校と専門学校の指導科目に起業を組み込む教育制度改革が行われたことです。さらに、政府は民間セクターや開発機関の協力を得て、起業家による事業の立ち上げを支援する情報、通信、テクノロジーのイノベーション拠点も設置しました。

環境の整備

清掃サービスを提供するケニアの企業 Safisana Home Servicesのエリック・キノティ・グループ業務執行取締役は、政府がウガンダの例に倣い、若者に雇用を提供できる起業を支援する環境整備を望んでいます。

「ケニアの金融機関の多くは、若者に担保提供を期待しますが、若者のアイデアに投資しようとする投資家は一握りしかいません」こう指摘するキノティさんは、他の若年起業家の指導者として、アフリカ版フォーブス「30 Under 30(30歳未満、有望な若者たち)」の一人に選ばれています。

ケニアでは、運転資本を入手できないことが起業の足かせとなっています。政府は「若年起業開発基金(YEDF)」と「Uwezo Fund(ウウェゾ基金)」を創設し、若者の起業を支援していますが、予算の制約によって、その影響力は限られています。

ワドンゴさんはこう語ります。「起業家精神をうまく導けば、アフリカでさらに多くの雇用を創出するだけでなく、経済成長の持続に欠かせない中間層も増大させることができます。アフリカの正規教育に起業家の養成を取り入れ、若者に将来に向けた準備をさせる必要があります」

カメルーンの社会的起業家支援組織 Harambe-Cameroonの設立者、オリビア・ムカミ理事長は、アフリカが若年雇用を優先課題とする必要性を強調します。「アフリカ諸国は一触即発の危険をはらんでおり、このまま状況が変わらなければ、やがて爆発が起きるでしょう」

ムカミさんによると、起業は雇用創出に貢献するだけでなく、アフリカの進展を根底から損なっている社会問題のいくつかを解決する糸口にもなることができます。「政府が『カメルーン・ビジョン2035』の重要な柱として、起業を優先課題に据えたことを心強く思います」ムカミさんはこう話しています。

カメルーン・バメンダ大学のアンドリュー・ウージュン経済学講師は、カメルーンの起業への取り組みを、その独自性に富む貧困削減戦略の結果と捉えています。他のアフリカ諸国とは異なり、カメルーンの貧困軽減戦略は、起業と関連づけられているからです。しかも、政府は起業家向けに充実した技能習得・養成プログラムを設け、テクノロジーやビジネスについて革新的なアイデアを持つ人々が容易に信用供与を受けられるようにしています。

課題への挑戦

起業がアフリカ経済に大きな影響を与えるためには、政府が資金や適切な指導の不足、不十分な政府の政策など、その進歩を阻む最大の課題のいくつかに取り組まねばなりません。アフリカ各国の政府はまた、優遇税制を通じ、民間セクターに雇用創出の誘因を与えることも検討すべきです。起業を促進するような法令の導入も必要です。

モハメドさんは、アフリカが正しい道を進んでいると語っています。しかし、起業の成果を得るためには、中小企業での雇用機会をさらに増やすための効果的な戦略や政策が必要です。

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ラファエル・オボニヨ氏は、世界銀行グローバル調整機関アフリカ代表、フォード財団フェロー。