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パレスチナ難民出典「国連の基礎知識」

UN Photo/Eskinder Debebe

1950年以来、国連パレスチナ難民救済事業機関(United Nations Relief and Works Agency for Palestine Refugees in the Near East: UNRWA)(https://www.unrwa.org/)は教育、保健、救済、社会的サービスをパレスチナ難民に提供してきた。総会は、1948年のアラブ・イスラエル戦争で住居や生計を失ったおよそ75万人のパレスチナ難民を緊急に救済するためにUNRWAを設立した。2016年末現在、UNRWAはヨルダン、レバノン、シリア・アラブ共和国、パレスチナの被占領地(西岸とガザ地区で構成、東エルサレムを含む)に住む500万人以上の登録パレスチナ難民に不可欠の基本サービスを提供していた。この10年、UNRWAの人道的役割の必要性は、この地域における度重なる紛争によってさらに強まった。

教育がUNRWAの最大の活動領域で、通常予算の60パーセント近くを占める。UNRWAは中東で最大の学校制度の一つを運営し、2015‒2016年学年度で692校の学校、2万1821人の教育スタッフ、50万698人の就学生徒(50.2パーセントが女子生徒)、8校の職業訓練センター、6,855カ所の研修サイト、二つの教育科学部、1,868人の養成中の教師を有する。UNRWAの143カ所のプライマリー・ヘルス・ケア施設は2015年に950万回の診察を行った。その環境保健計画は飲料水の質を管理し、公衆衛生を提供し、難民キャンプにおいて病気を媒介する動物や野ネズミ駆除を実施している。2016年1月から9月まで、UNRWAの小口融資計画は2,940万ドル相当の2万8960件の貸し出しを行った。1991年から2015年の間に、UNRWAは、あらゆる分野を横断する4億4040万ドル相当の39万8154件の融資を行った。

2016年10月現在、UNRWAは様々な分野で140万人のパレスチナ難民に人道援助を提供している。それにはシリア国内に住む42万人の難民、シリア内戦を受けてヨルダンやレバノンへ逃げた4万5000人の難民、それにガザに住む80万人以上の難民、西岸に住む8万人の難民も含まれる。この8年間にガザでは3回の衡突があり、2007年以降は封鎖されている。西岸では、人道的ニーズと保護のニーズが必要なのは、イスラエルの占領が続き、移動やアクセスに制限があるからである。

UNRWAは継続して支援していることは、インフラの整備、雇用の創出、経済社会開発の改善である。現地当局もしくは執行機関を通して活動する他の国連機関とは異なり、UNRWAはそのサービスを直接難民に提供する。活動やプロジェクトを策定して実施し、学校や診療所のような施設を建設し、それを管理する。国際社会はUNRWAを中東における安定化要因だとみなしている。難民自身も、パレスチナ難民問題の恒久解決を達成する国際社会のコミットメントの象徴だとして、そのプログラムをみなしている。