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環境法出典「国連の基礎知識」

UN Photo/John Isaac

国連は国際環境法の先駆者としてその発達に積極的に取り組んできた。その仲介によって、これまで世界各地の環境保全に貢献した多くの主要な条約が生まれた。国連環境計画(United Nations Environment Programme: UNEP)(www.unep.org)は、こうした条約の多くを管理しているが、これまで環境法の発達と実施に貢献してきたという長い歴史を持っている。現在の活動は「環境法の発達と定期的レビューのための2009年モンテビデオ計画」に基づいている。これは2010年に始まる10年に環境法に関する活動を策定する国際法曹界とUNEPのための戦略となるものである。UNEPの活動には人権と環境の保護、グローバル・コモンズの環境管理の改善、越境環境犯罪の防止、軍事活動が環境に及ぼす影響の調査、グリーン経済の実現支援、水に関する法律の強化とグリーン化、環境法の漸進的発達が含まれる。多くの条約がUNEP もしくは条約事務局などの他の機関によって管理されている。

  • 「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地帯に関する条約(Convention on Wetlands of International Importance Especially as Waterfowl Habitat)、1971年」は、その管轄権のもとにある湿地帯を賢明に利用することを締約国に義務付けている。国連教育科学文化機関(ユネスコ)は条約の普及を進めている。
  • 「海洋法に関する国際連合条約(United Nations Convention on the Law of the Sea)、1982年」は、沿岸と海洋環境の保護と保全、海洋汚染の防止と管理、生物資源および非生物資源への権利、生物資源の管理と保存など、多くの海事問題について規制している。
  • 「オゾン層の保護に関するウィーン条約(Vienna Convention on the Ozone Layer、1985年)」、「モントリオール議定書(Montreal Protocol、1987年)」およびその改正(Amendments)は、太陽の有害な紫外線から生命を守るオゾン層の破壊を減少させる措置を求めている。(UNEP管理)
  • 気候変動に関する枠組み条約(Framework Convention on Climate Change、1992年)は、地球の温暖化とその他の大気問題の原因となる温室効果ガスの排出量を削減することを締約国に義務付けている。その京都議定書(Kyoto Protocol、1997年)は、気候変動に対する国際的な対応を強化し、2008‒2012年の間に法的に拘束力のある排出目標を設定することによって、気候変動に対する国際社会の対応を強化した。
  • 「深刻な干ばつまたは砂漠化に直面している国(とくにアフリカの国)における砂漠化防止のための国際連合条約(United Nations Convention to Combat Desertification in Those Countries Experiencing Serious Drought and/or Desertification, Particularly in Africa)、1994年」は、砂漠化防止と干ばつの影響を緩和させる国際協力を促進する。
  • 「国際貿易の対象となる特定の有害な化学物質および駆除剤についての事前の情報に基づく同意の手続きに関するロッテルダム条約(Rotterdam Convention on the Prior Informed Consent Procedure for Certain Hazardous Chemicals and Pesticides in International Trade、1998年)は、これらの物質が健康および環境に及ぼす危険についての情報を輸入国へ提供することをその物質の輸出国に義務づけている。
  • 「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(Stockholm Convention on Persistent Organic Pollutants)、2001年」は、DDTやPCB、ダイオキシンなど、高度に移動性があって、食物連鎖に蓄積するようなある種の非常に有害な駆除剤、工業用化学物資、副産物を削減もしくは排除することを目的としている。
  • 「戦略的環境アセスメントに関するキエフ議定書(Kyiv Protocol on Strategic Environmental Assessment)、2003年」は、計画案やプログラム案の環境上の影響を評価するよう加入国に要請している。
  • 「バルト海、北東大西洋、アイリッシュ海および北海の小型鯨類の保存に関する協定(Agreement on the Conservation of Small Cetaceans of the Baltic, North East Atlantic, Irish and North Seas)2008年」は、小型鯨類とその生息地のために締約国間の緊密な協力を促進することを目的とする。
  • 黒海、地中海および接続大西洋海域における鯨類の保存に関する協定(Agreement on the Conservation of Cetaceans in the Black Sea, Mediterranean Sea and Contiguous Atlantic area)、2010年」は、鯨類に対する脅威を軽減し、意図的な捕鯨を禁止し、保護海域を設けるよう求めている。
  • 「水銀に関する水俣条約(Minamata Convention on Mercury)、2013年」は、水銀の副作用から人の健康と環境を保護することを目的とする。発効はまだである。

より以上の環境法条約についての情報は、生物の多様性、化学物質、気候の変動、砂漠化、環境、オゾン層の破壊、有害廃棄物の項を参照のこと。