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係争事件出典「国連の基礎知識」

係争事件は1946年以来の裁判所の活動の80パーセントを占めた。裁判所は、国境、海上境界線、領土主権、武力の不行使、国際人道法の侵害、国家の内政不干渉、外交関係、人質、庇護を求める権利、国籍、後見人、自由航行権、経済的権利など、広範な問題に関する紛争について判決を下してきた。

係争事件の裁判の長さについては、事件のおよそ75パーセントが4年以内に終わった。18パーセントについては判決が出るまでに5年から9年かかった。7パーセント(これまで7事件)は終了するまで10年以上もかかった。それぞれの事件の長さはその複雑性によって決まるが、迅速な訴訟を望むか否か、当事者の意思によっても決まる。訴訟の当事者は主権国家であるので、司法裁判所は事件に関する審理を早める能力は制限される。

要請があれば、裁判所は迅速な決定を行うことができる。たとえば、1999年、アメリカに対する訴訟(ルグラン事件)でドイツの緊急要請によって24時間後に仮保全措置命令が出された。これは、2人のドイツ国籍保持者の殺人事件に対するアメリカの裁判と判決は「領事関係に関するウィーン条約」の侵害であると訴えた事件である。事件自体は28カ月以内に判決が出されて終了した。

係争事件における裁判所の手続きは書面手続きと公開審理を含む口頭手続きから構成され、口頭手続きにおいては代理人および補佐人が裁判所で弁論を行う。口頭弁論に続いて裁判所は非公開の評議を行い、公開の場で判決を行う。判決は一般的に口頭弁論が終わったのち6か月以内に行われる。判決は終結とし、上訴は許されない。当事国の一方がそれに従わない場合は、他の当事国は安全保障理事会に訴えることができる。しかし、これまでの司法裁判のほとんどすべての判決が履行されている。