最近のICJ事件
2013年11月、プレア・ビヘア寺院に関する事件で、ICJは、1962年6月15日の判決は、カンボジアがプレア・ビヘアの突端部に主権を有するとの判決を行っていたことの判決を行い、カンボジア対タイの長年の紛争が終了した。
2014年1月、ペルー対チリの海域紛争で、裁判所は、地理上の明確な座標を確定することなく両国間の海上における境界について判決を行い、当事者が良き隣人の精神のもとに、ICJ判決に従ってこれらの座標を決定するようにとの期待を述べた。
2014年3月、南極海捕鯨に関するオーストラリア対日本の事件で、日本の捕鯨計画(JARPA II)は国際捕鯨取締条約のスケジュールに関する3規定に従うものではなかった、との判決を行い、JARPA IIとの関連で与えられた現存する許可もしくはライセンスを無効とすることを決め、その計画に関連してこれ以上の許認可を与えることを控えるよう求めた。
2015年2月、「集団殺害罪の防止及び処罰に関する条約」の適用に関するクロアチア対セルビア間の事件で、裁判所は、セルビアが条約を侵害したとのクロアチアの主張とクロアチアが1995年8月の嵐作戦中もしくはそれ以降に条約の下に有する義務を侵害したとのセルビアの主張を共に拒否した。
2015年12月、コスタリカでサンフアン川に沿った道路建設に関するコスタリカ対ニカラグアの事件で、後日、国境付近でニカラグアが行うある種の活動に関して、裁判所は、ルート1856の建設に関して環境影響評価を実施するとの義務を侵害したとの判決を行ったが、他方で、実質的な環境上の義務には違反していないとの判決を行った。
2016年3月17日、裁判所は、ボゴタ条約31条に基づき、2012年11月19日の判決によって裁判所が決めた境界線を越えてそれぞれの国に属する大陸棚に関してニカラグア・コロンビア間の境界を裁判所が画定するとのニカラグアが提出した第一請求については、裁判所はその件を審理する管轄権を有すると決定し、かつ、その請求は受理可能だとの判決を行った。
2016年10月、マーシャル諸島が核開発競争の中止と核軍縮に関してインド、パキスタン、イギリスを訴えた事件で、当事者間の紛争がないことから、裁判所の管轄権に関するインド、パキスタン、イギリスの異議を支持し、いずれの事件においても審理を開始することはできないと決めた。
裁判所は2013年9月と2015年6月に、それぞれ、除草剤の空中散布に関するエクアドル対コロンビアの事件とある種の文書とデータの押収と保管に関する東ティモール対オーストラリア間の事件は、当事者間に合意もしくは解決が見られたことから、訴訟事件一覧表から取り除かれた。
2017年1月31日現在、裁判所の事件リストには17カ国を含む13件の係争中の事件が載せられている。中南米諸国7件(コスタリカ対ニカラグア(3件)、チリ対ボリビア(2件)、ニカラグア対コロンビア(2件)、アフリカ2件(コンゴ民主共和国対ウガンダ、ソマリア対ケニア)、ヨーロッパ2件(ハンガリー対スロバキア、ウクライナ対ロシア連邦)、異なる地域の国を含む2件(赤道ギニア対フランス、イラン対アメリカ)である。