条約の影響
締約国は、海洋法条約はこの分野における卓越した国際的な法律文書であるとして、一貫してその権威を主張してきた。条約はしばしば「海の憲法」として呼ばれることが多い。条約は、海洋に関する国家の権利や義務を明確にすることを求める将来の文書のための枠組みと基礎とを提供する。ほぼ普遍的に受け入れられた原則のいくつかは以下のとおりである。
- 12カイリの領海の幅
- 200カイリまでの「排他的経済水域」、また、200カイリまでの距離まで伸びる大陸棚もしくは、ある条件の下では、その制限を越える大陸棚に対する沿岸国の主権と管轄権
- 海洋環境を保護、保存する一般的義務
また、条約のもとに、領海における無害通航、国際航行に使用されている海峡の通過通航、群島航路帯の通過通航、排他的経済水域における航行の自由の権利が確立され、安定した航行が可能となった。条約は、海洋の科学的調査、内陸国や地理的に不利な国々の権利についての規定があることも広く認知されている。
海洋法条約の受諾が可能となったのは、「国連海洋法条約第11部の実施に関する協定(Agreement Relating to the Implementation of Part XI of the Convention)」が1994年の総会によって採択され、主に先進工業国の署名を妨げてきた海底に関するある種の障害が取り除かれたからであった。2016年12月現在、協定の加入国は、150カ国であった。
1995年の「複数の水域にまたがる魚類および高度回遊性魚類資源に関する協定(Agreement on Straddling Fish Stocks and Highly Migratory Fish Stocks)」は、魚類資源に関する条約の規定を履行するもので、その保存と管理のための法体制を確立するものである。同協定は、魚種資源の長期的、持続可能性を確保し、その最善の利用を促進する措置を取るための協力を加盟国に求めている。締約国はまた、国家管轄権の下にある海域および隣接の公海におけるこれらの魚種資源に関する措置について、その適合性を達成するために協力するよう求められている。2016年12月現在、協定の加入国は84カ国であった。