この対話には誰でも参加できます。オンラインとオフライン、そしてフォーマル、インフォーマルな対話により、UN75はできるだけ多くの人々、理想的には193の国連加盟国すべての人々を巻き込んでいきます。参加者は一緒に、それぞれの希望と不安を共有し、現在と将来のリスクや機会を評価し、全世界的な協力に向けた解決策を探っていきます。
これと並行して、世界的な世論調査やメディア分析を通して、統計的に意味のあるデータを提供します。取りまとめた意見とアイディアは、世界のリーダーに提示し、広く拡散していきます。
国連にとって、UN75は傾聴と学びの年になることでしょう。国連の諸機関、国連国別チーム、重要なステークホルダーが、3つの行動を取るにあたり、中心的な役割を果たします。
このツールキットは、対話の始め方を取り扱うものです。
「私たちは一緒に、全世界の諸民族から、
現代のグローバル課題への対処をいかに改善できるのかを学ぶことができます」
-アントニオ・グテーレス国連事務総長
カレンダーに印をつけよう:UN75のスケジュール
- 2019年10月24日: UN75の導入
- 2020年1月2日: 正式な発足
- 2020年6月24日: 国連憲章デー
- 2020年9月21日: 国連総会2020
- 2020年10月24日: 国連デーで閉幕
- 2020年12月31日: 正式な閉幕
2019年暮れから、すべての国連国別事務所は、UN75に向けた準備を本格的に進めることができます。無駄にできる時間はありません。できるだけ多くの人々が、将来に向けた私たちの希望やアイディアの形成に参加すべきだからです。
対話は誰のものか
UN75には誰でも参加できます。参加者の一般的な類型の例としては、下記が挙げられます。
- 政府(国、地方、地域)
- 国会議員を含む政策決定者
- 小中高校、大学、国内的・国際的ユース運動を含む若者
- 協同組合、労働組合、非政府組織、市民運動を含む市民社会
- 大手、中小の民間企業
- 財団
- 既存の研究制度を含む学界とシンクタンク
- メディア:デジタル、従来型、ソーシャル
- 国連システム(事務所と個人)
- 地域機関
- 個人
その他の重要な主体
この中には、国連に批判的な人々のほか、障害を持つ人々、難民、国内避難民、人権擁護活動家など、常にその声が聴かれるとは限らないグループも含まれる可能性があります。宗教指導者や、関係する場合には伝統的権威の寄与も重要です。
どんなストーリーを語るべきか
最初は、下記について説明する簡潔な、発想を刺激する語り方をしましょう。
- なぜ話し合っているのか
- 参加にはどんな意義があるか
- それにはどんなインパクトがあるのか
- 自分はどのような行動がとれるのか
さらに詳しい情報については、よくある質問(FAQ)のページをご覧ください。
» https://www.un.org/en/un75/faq
対話を成功させるためのヒント
- 参加者を巻き込むうえで、最も効果が高いチャネルを定める
- 情報をオープンに共有する
- 参加を阻む制約を排除・管理する
- 必要な場合、機密保護措置を講じる
- 既存のイベントやフォーラムを利用して対話の場を設け、楽しく打ち解けたものにすることで、対話を行いやすくし、「協議疲れ」を緩和する
- 重要な国内パートナーとの対話の共催を検討する
- 定期的に教訓を引き出し、これを応用する
UN75は過去最大のグローバル対話として、オンラインやオフライン、コミュニティー、学校、都市、役員室、国会で国境と世代を越え、人々の声を増幅させていきます。人々がそれぞれの経験や観点に基づき、将来のシナリオを思い描く中で、結集した行動に向けた解決策を模索します。
参加の方法
対話に加わるためには、ソーシャルメディア・キャンペーンから簡単な1分間のアンケート、さらにはよりフォーマルなフォーカスグループによる議論に至るまで、いくつかの方法があります。
潜在的な選択肢としては、下記が挙げられます。
自分のソーシャルメディア・プラットフォームにUN75動画を投稿する
あなたのソーシャルメディア・プラットフォームにUN75の動画を投稿し、あなたの友達やパートナー、ネットワークに計画を始めるよう要請してください。コミュニケーションに使える手段やアイディアの一覧は、こちらをクリックしてください。
UN75の簡単なアンケートを受け、共有する
beta.un75.onlineでUN75の簡単なアンケートを受け、あなたの国でSMSが使えれば、これをショートメールで送信、共有してください。
インフォーマルな対話の場を設ける
インフォーマルな対話の場を設けてください。どこでも構いません。既存の会合や会議のほか、チームの集いや昼食、モーニングコーヒーなど、より親睦的な場を活用すれば、やりやすいかもしれません。会合を開く場合には、異なる場所にいる参加者がリアルタイムで視聴、参加しやすいよう、ライブストリームの活用を検討してください。
ソーシャルメディアでのチャット
ソーシャルメディアでのチャット:TwitterやGoogle、Hangouts、Facebookなどを用いて、簡単なQ&Aを始めてください。そうすれば、幅広い聴衆にとって見つけやすいだけでなく、議論への貢献も促せるようになります。チャットやQ&Aはライブイベントでも役立ちます。
オンライン・ディスカッション
オンライン・ディスカッション:UN75チームは、デジタルで進行できる対話の場を立ち上げ、これを促進するための包括的オンライン・プラットフォームを開発中です。国連国別チームとステークホルダーによるオンライン・ディスカッションについては、別のデジタル・プラットフォームが用意される可能性もあります。
フォーマルなフォーカスグループ
フォーマルなフォーカスグループ:全体的な所見の根拠とできるような、より厳密で構造化された調査の実施をねらいとするものです。この選択肢を採用する場合、より詳細な調査票に記入してもらう必要があります。
対話のきっかけをつくるための設問
私たちはどのような世界をつくりたいのでしょうか。
国連創設100周年にあたる25年後、あなたの理想の世界はどのような姿をしているのでしょうか。今あなたが暮らしている世界と、どこが違うのでしょうか。あなたが思い描く25年後の世界の1日は、どんな様子でしょうか。
- 私たちの子どもや孫とともに、そして私たちの子どもや孫のために、どのような世界をつくっておきたいのでしょうか。
- 科学技術は日常生活にどう影響していますか。すべての人々は公正かつ平等に取り扱われていますか。国際的な協力関係はどうなっていますか。
現状の世界的動向が続けば、私たちは今から25年後、どのような世界に暮らすことになるのでしょうか。
- あなたの子どもや孫が与えられる機会は、あなたが恵まれた機会よりも多くなるのでしょうか、少なくなるのでしょうか。例えば教育や就職の見通しについて、状況は良くなるのでしょうか、それとも悪くなるのでしょうか。
- あなたや、次の世代の人々の社会的、経済的、物理的移動性は今後、高まると思いますか、それとも低下すると思いますか。
- あなたが暮らす自然環境の健全性は今後、高まると思いますか、それとも低下すると思いますか。環境はどのように違ったものとなる可能性があるのでしょうか。
次の6つの分野の中で、あなたが望む未来への前進に大きく影響すると思われるものはありますか。
1つまたは複数を選ぶか、自分自身が考える問題を加えて、グループで議論してください。
- 気候変動と環境問題(汚染、森林破壊など)
- 貧困と不平等
- 新たなテクノロジー(ソーシャルメディア、人工知能など)
- 人口構成の変化(人口増加、高齢化、移住、都市化など)
- 安全上の脅威(武力紛争、サイバー戦争、犯罪と暴力など)
- 政府間、および、人々と政府との間の信頼崩壊
これらの問題に取り組むうえで、あなたなら事務総長に対して、どこに優先的に注力するよう助言しますか。
私たちが望む世界と、私たちが現状の動向をよりよく管理できない場合に生じかねない世界とのギャップを埋めるため、どのような結集した対応ができるでしょうか。
将来の世代のためによりよい世界をつくるため、私たちは今どのような行動を起こすべきでしょうか。
- あなたは個人として、私たちが望む世界を実現するために何ができますか。あなたは世界を良くするために何をしていますか。
- こうした動向を管理するために、行動を起こさねばならないのは誰ですか。政府はどのような役割を演じるべきですか。企業や市民社会、個人その他の役割はどうでしょうか。
- 地方、国内、国際のレベルで、どのような形の行動や協力が必要になる可能性がありますか。国連やその他の国際機関は、これを促すためにどのような役割を果たしうるのでしょうか。どのような改善が可能でしょうか。
進行役を務める際のヒント
インフォーマルな対話でも、よりフォーマルなフォーカスグループでも、進行役は極めて重要な役割を果たします。全般的な指針としては、次のようなものが挙げられます。
- なぜ対話が行われているのか、議論はどこへ向かうのかを明確に伝える
- 異なる観点を尊重し、その共有を促進する
- 相反する立場や力関係の不均衡に建設的に取り組む
- 現地のニーズに適応する
- 協議のやり方を評価する
- 何らかの記録とフィードバックを確保する
対話を始めるための資料
動画、ポッドキャスト、ソーシャルメディア・ツール、ブランディング・ガイドラインなどの資料はTrelloで入手できます。
下記の簡単なファクトシートを一読し、いくつかの喫緊の課題について、UN75チームが提供する知見を確認してください。
デジタル技術のインパクト
テクノロジーは私たちの世界をより公平に、より平和に、より公正にすることができますが、その一方でプライバシーを脅かしたり、独裁的な統制をしやすくしたり、紛争や不平等を助長したりもします。テクノロジーの未来に不吉な予感がするかもしれませんが、そうなる必然性はありません。これまでの世代と同様、政府であれ、企業であれ、個人であれ、私たちには新たなテクノロジーをいかに活用するか選択する余地があるからです。世界をよくするか、悪くするかは、その選択にかかっています。
紛争と暴力の新時代
75年前に国連が創設されてから、紛争と暴力の性質は本質的に変わっています。紛争は犠牲者こそ少なくなっているものの、長引く傾向にあり、しかも国家間ではなく、国内の集団間で発生することのほうが多くなっています。世界では、殺人が増えている地域がある一方で、ジェンダーを理由とする暴力も増加しています。
これとは別の動きとして、技術進歩によってロボットやドローン、ライブストリーミングの兵器化や、サイバー攻撃、ランサムウェア、ハッキングなどが見られるようになりました。その一方で、国際協力は停滞し、あらゆる形態の紛争と暴力を予防、解決できる能力が世界的に低下しています。
不平等 ― 格差を埋めよう
世界は貧困の削減で顕著な前進を遂げています。過去30年間で、10億人以上が貧困を脱出しています。しかし、1990年以来、全世界の経済生産が3倍以上に伸びているにもかかわらず、貧しい方から数えて半数の人々が所得に占める割合は、この期間を通じてほとんど増えていません。不平等は経済の成長を損ない、その結果として不平等が生み出す社会格差も広がります。
所得、地域、ジェンダー、年齢、民族、障害、性的指向、階級、宗教を理由に、アクセスや機会、結果を決定づけてしまう不平等は国家間でも、各国の内部でも根強く残っています。世界には、こうした格差がさらに広がっている地域もあります。その一方で、オンライン技術やモバイル技術など、新たな分野での格差も生まれてきています。
気候危機 ― 勝てる競争
気候変動は現代の危機を決定づけており、私たちが懸念していた以上の速さで進んでいます。しかし、私たちはこの地球規模の脅威に対し、決して無力なわけではありません。アントニオ・グテーレス事務総長が2019年9月に指摘したとおり、「私たちは気候緊急事態という競争でリードを許してはいるものの、それは私たちが勝てる競争」なのです。
地球上に、気候変動の壊滅的影響から無傷でいられる場所はありません。気温の上昇は環境破壊や自然災害、異常気象、食料不安と水不足、経済の混乱、紛争やテロを助長しています。海面は上昇を続け、北極氷原は融解し、サンゴ礁は死滅へ向かい、海洋の酸性化が進み、森林は山火事で失われています。これまでと同じやり方を続けていたのでは不十分です。気候変動の際限のないコストが取り返しのつかないほど大きくなる中で、大胆な一致団結した行動を起こす時期が来ています。
人口構成の変化
世界の人口は現在の77億人から2050年の97億人へと20億人増加した後、出生率の継続的低下を受け、今世紀末に110億人程度でピークに達すると見られています。この期間を通じ、世界人口の都市集中がさらに進む一方で、65歳以上の高齢者の数が5歳未満の子どもを上回るようになります。
今後2050年までの人口増の半分は、インド、ナイジェリア、パキスタン、コンゴ民主共和国、エチオピア、タンザニア、インドネシア、エジプト、米国というわずか9カ国(降順)で生じることになります。サハラ以南アフリカの人口は倍増する可能性が高いのに対し、ヨーロッパの人口は縮小するものと見られます。
その一方で、人々は移動しています。世界人口に国際移民が占める割合は過去20年間、ほぼ3%で一定していますが、2000年以来、その数は50%以上も増えています。同時に、故郷を追われた人々の数は紛争の長期化により、急激に増えており、気候変動と環境破壊の結果、さらに増大するおそれもあります。難民と移民の大多数は、グローバル・サウスの国々に流入しています。
いずれの対話に参加を希望されるもUN75.orgのウェブサイトにある登録フォームに入力してください。
各人に固有の識別番号を発行します。
人々をつなげ、その声を増幅させれば、よりよい未来のための行動のきっかけをつくるという、重要目標の1つにたどり着きます。UN75で生まれたアイディアには、次のことが期待されています。
- 公開討論の参考となる
- 国内、国際の政策決定者に取り上げられる
- より幅広い市民参画のきっかけをつくる
- 世界的な協力を深める
それぞれの対話は、各個人が聞いたこと、学んだことに沿って、自分たちの生活で行動を起こすよう促す機会となります。
フォーマル、インフォーマルな対話からはいずれも、国内・国際機関が適用できる知見や証拠が生まれる可能性があります。調査結果は新たなプログラム、投資、パートナーシップ、キャンペーンやその他選択肢のきっかけになるかもしれません。
UN75チームは、議論の主な成果を実証するためのグローバル・プラットフォームを開発中です。
ここで生まれた見解やアイディアは2020年9月、第75回国連総会の会期中に開催予定のハイレベルな出席者を伴うイベントで、世界のリーダーと国連高官に提示されることになります。
証拠の文書化
対話を文書化することにより、様々なレベルで信頼と共有が可能になるほか、行動に向けた証拠を提供することができます。典型的な証拠書類の例としては、下記が挙げられます。
- 参加者とその選出方法に関するデータ
- 関連する属性
- 参加者の声を記録する録画・録音物
- 協議の際に撮られた写真および/または生まれたストーリー
- ソーシャルメディア・データ
- 報告者からの報告
- 主な調査結果を含む分析のまとめ
フォーマルなフォーカスグループに関しては、進行役がフォームに記入することで、情報を集中的に記録、分析できるようになります。どんな種類の対話に参加した人々も、その進行役を通じ、またはUN75ウェブサイトでフィードバックを提供できます。
結果の検証
フィードバック・フォームもUN75ウェブサイトも、結果を検証し、このプロセスに関する提案または懸念を示す機会を与えるものとなります。
結果の検証には、議事録や調査結果の共有、追加的な意見表明の要請など、その他の単純なステップを要することもあります。フォーカスグループ調査や会合の最中に、参加者の発言内容について即時のフィードバックを求める視覚的方法を用いることで行える検証もあります。
遠く広く伝える
UN75の期間を通じ、個別の協議でもあらゆる形態のメディアでも、説得力のあるコミュニケーションは欠かせません。人々の顔やストーリーは、課題を余すところなく生き生きと伝え、公開討論に影響を与えて行動を活発化することがあります。対話の文書化と検証を行う際には、影響を及ぼす可能性が最も高い人々、ストーリー、ソーシャルメディア・スレッドの経過を追ってください。コミュニケーション担当者と連携し、影響力の最大限の行使を図ってください。
参考資料と国内コミュニケーション戦略の構築については、グローバル・コミュニケーション戦略とUN75コミュニケーション・アセットの項目をご覧ください。