ハイチ
ハイチは2004年1月1日、建国200周年を祝った。しかし深刻な政治的こう着状態によってハイチの安定が脅かされていた。親政府民兵と反政府民兵との間に激しい衝突が生じ、暴力激化の連鎖が始まった。その結果、2001年以来2期目を務めていたジャン・ベルトランド・アリスティド大統領は辞任し、ハイチから出国した。安全保障理事会は、新しく就任したボニファース・アレクサンドル大統領の支援要請を受けて多国籍暫定軍(Multinational Interim Force: MIF)の即時展開を承認した。アメリカ主導の部隊は直ちにハイチへ展開された。2004年4月、理事会は「国連ハイチ安定化ミッション(United Nations Stabilization Mission in Haiti: MINUSTAH)(https://peacekeeping.un.org/en/mission/minustah)を設立した。安全かつ安定した環境の中で平和的な、立憲政治プロセスが続けられるよう支援することになった。それに続く数年の間に、政治、治安、経済社会情勢によって変化する現地の状況や新たに発生する要請に応えることができるように、MINUSTAHの任務、活動のコンセプト、承認された兵力は数回にわたって理事会の調整を受けた。
2010年1月の壊滅的な地震発生後、理事会はMINUSTAH の総合的な兵力のレベルを増強し、復興、再建、安定のための取り組みも支援することにした。MINUSTAHは、国連人道問題調整官事務所(OCHA)や国連国別チームとともに、人道支援や復興支援活動を行った。また、2011年の選挙の実施も支援し、選挙ではミシェル・マルテリーが勝利を収めた。その任期は後任の選挙もないままに2016年2月に終わった。暫定政府は、国家元首を務める国民議会議長とともに、遅れている大統領選挙を実施しようとしたが、2016年10月にハイチを襲った「ハリケーン・マシュウ」によって阻止された。その結果、大統領選挙は2016年11月20日に実施され、「テトカレ・アイチ党」のジョヴネル・モイーズが勝利を収めた。2017年4月15日に大統領就任の宣誓を行った。安全保障理事会はMINUSTAHの任期を2017年4月15日まで延長し、軍事要員2,370名、警察要員2,601名のレベルを維持した。それまでにハイチ駐留の新しい国連のプレゼンスを決めることになった。