化学・生物兵器
「化学兵器禁止条約」(Chemical Weapons Convention: CWC)が1997年に発効したことによって、1925年に始まった作業は完了した。1925年はジュネーブ議定書が初めて有毒ガス兵器の使用を禁止した年であった。化学兵器禁止条約は、国際軍備管理史上初めて、締約国の条約上の義務順守を監視する厳格な国際検証体制を創設した。これには化学施設に関する情報の収集や通常の国際的な査察が含まれる。そのためにオランダのハーグに設置されたのが化学兵器禁止機関(Organization for the Prohibition of Chemical Weapons: OPCW)(www.opcw.org)で、積極的に活動を進めている。2015年にアンゴラとミャンマーが加入したことを受けて、OPCWの加盟国は2016年10月現在192カ国で、世界の総人口のおよそ98パーセント以上を占める。
化学兵器条約とは異なり、1972年の「生物兵器禁止条約(Biological and Toxin Weapons Convention: BTWC もしくはBWC)」(www.opbw.org)には検証機構についての規定はない。条約は1975年に発効した。しかし、締約国は、信頼醸成措置の一環として、毎年ハイリスクの生物学研究施設のような項目について詳細な情報を交換する。2006年、第6回生物兵器条約締約国運用検討会議は、条約の実施について締約国を助ける「履行支援ユニット(Implementation Support Unit: ISU)を設置することに決定した。核不拡散条約や化学兵器条約 ―― それぞれIAEAとOPCWの支援を受ける ―― とは異なり、それまでは生物兵器に関しては制度上の支援はなかった。条約の締約国会議は国連で定期的に開かれている。2016年に第8回運用検討会議が開催された。