軍縮機関
国連憲章は、「国際の平和及び安全の維持についての協力に関する一般原則を、軍備縮小及び軍備規制を律する原則も含めて」審議する主な責任を総会に与えている(国連憲章第11条)。総会には軍縮問題を取り上げる二つの補助機関がある。一つは総会の第一委員会(軍縮と国際安全保障)で、通常総会の会期中に開かれ、総会の軍縮問題に関する議題のすべてを取り上げる。二つ目は、軍縮委員会(Disarmament Commission)で、特定の問題を取り上げる専門的な審議機関で、毎年3週間にわたって開かれる。
ジュネーブ軍縮会議(Conference on Disarmament)は、国際社会が有する軍縮協定について審議する唯一の多国間交渉の場である。会議は「生物兵器条約(Biological Weapons Convention)」、「化学兵器条約(Chemical Weapons Convention)」や「包括的核実験禁止条約(Comprehensive Nuclear‒Test‒Ban Treaty)」、「核兵器不拡散条約(Treaty on the Non‒Proliferation of Nuclear Weapons)」についての交渉を成功させた。しかし1997年以降は軍縮の優先順位について加盟国間のコンセンサスが得られず、実質的な作業計画を採択して作業を進めることができない状態にある。2016年の会期では、作業計画について活発な討論が行われ、またいくつかの提案も行われたものの、作業を進めることはできなかった。会議は、国家の安全保障上の利害に触れるような問題も取り上げることから、会議の作業はすべて厳格なコンセンサスに基づいて進められる。会議は65カ国で構成され、総会とはユニークな関係を維持する。軍縮会議は独自の手続き規則を持ち、議題も自身で決めるが、総会の勧告を考慮に入れ、毎年総会に報告する。
国連軍縮部(United Nations Office for Disarmament Affairs: UNODA)(www.un.org/disarmament/)は、軍縮問題に関する総会の決定を実施する。国連軍縮研究所(United Nations Institute for Disarmament Research: UNIDIR)は、軍縮と関連問題、とくに国際安全保障問題について独立した研究を行う。軍縮諮問委員会(Advisory Board on Disarmament Matters)は、軍備制限や軍縮に関連した問題について事務総長に助言を与え、UNIDIR評議会として機能する。また、国連軍縮広報計画(United Nations Disarmament Information Programme)の勧告の実施についても事務総長に助言する。