制裁
国連憲章第7章(41条)のもとに採択される制裁措置には、武力の行使を含まない、幅広い選択肢を持つ強制措置がある(https://www.un.org/securitycouncil/sanctions/information)。1968年以来、安全保障理事会は30の制裁委員会を設置した。
国連の制裁は多くの異なる形をとって行われる。制裁措置は包括的な経済関係や貿易の禁止から特定の商品の禁止や武器の禁輸まで多岐にわたり、また、渡航禁止や資産の凍結など、特定の個人や主体を対象とした制裁も行われる。安全保障理事会は、平和的な移行を支援し、政権の非合法的な変更を阻止し、テロリズムと対処し、人権を保護し、不拡散を促進するために制裁を実施してきた。制裁は懲罰的だとの想定とは異なり、多くの制裁体制は平和維持、平和構築、平和創造を網羅する包括的な戦略の一部で、平和的な移行へと進む政府や地域を支援することを意図している。
包括的な経済制裁が社会の最大の弱者に及ぼす悪影響についての懸念があることから、制裁の策定や実施が改善された。2003年以降、すべての新規の制裁体制は特定の対象を目標としている。措置は特に指定された個人や事業体に適用される。同様に、2003年以降に課せられた貿易制限は特定の商品を限定している。
対象となった人々についての適正な手続きを経ることが重要であること、制裁措置の実施や解除、また人道的例外を与えることについて公正かつ明確な手続きを確保する必要があること、理事会はこうしたことについての認識がこれまで以上に高まったことを念頭に制裁を実施している。制裁解除のフォーカルポイント、ISIL(ダーイシュ)およびアルカイダ制裁委員会に対するオンブスパーソン(行政監察官)室の設置はこうしたアプローチを具体化した例である。