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法律文書出典「国連の基礎知識」

宇宙空間平和利用委員会と法律小委員会の作業を通して、総会は五つの法律文書を採択した。現在、そのすべてが発効している。

  • 1996年の「月その他の天体を含む宇宙空間の探査および利用における国家活動を律する原則に関する条約(一般に宇宙条約として知られる)(Treaty on Principles Governing the Activities of States in the Exploration and Use of Outer Space, including the Moon and Other Celestial Bodies: Outer Space Treaty)」は、宇宙空間の探査は、発展の程度に関係なくすべての国の利益のために行われなければならないと規定している。宇宙空間は全人類に属するもので、すべての国が純粋に平和目的のためのみに自由に探査し、利用することができる。しかし、国家の取得の対象としてはならない。
  • 1967年の「宇宙飛行士の救助と帰還、および宇宙空間に打ち上げられた物体の返還に関する協定(救助協定)(Agreement on the Rescue of Astronauts, the Return of Astronauts and the Return of Objects Launched into Outer Space: Rescue Agreement)」は、宇宙船の事故あるいは緊急着陸の際の宇宙飛行士への援助を規定し、打ち上げ国の領土外で発見された宇宙物体を打ち上げ国へ返還する際の手続きを定めている。
  • 1971年の「宇宙物体により引き起こされる損害についての国際的責任に関する条約(宇宙損害責任条約)(Convention on International Liability for Damage Caused by Space Objects: Liability Convention)」は、打ち上げ国は、その宇宙物体が地表面で引き起こした損害および飛行中の航空機や他の打ち上げ国の宇宙物体またはその中の人もしくは財産に対して与えた損害に賠償責任を持つと規定している。
  • 1974年の「宇宙空間に打ち上げられた物体の登録に関する条約(宇宙物体登録条約)(Convention on Registration of Objects Launched into Outer Space: Registration Convention)」は、打ち上げ国は宇宙物体の登録簿を保管し、打ち上げられた物体に関する情報を国連に提供する、と規定している。この条約のもとに、国連事務局の国連宇宙部が宇宙空間に打ち上げられた物体に関する国連登録簿を保管する。情報はすべて打ち上げ国および欧州宇宙機関(ESA)から提供される。宇宙空間に打ち上げられた物体の検索可能なインデックスは、国連宇宙部のホームページ(www.unoosa.org)で入手できる。
  • 1979年の「月その他の天体における国家活動を律する協定(月協定)(Agreement Governing Activities of States on the Moon and Other Celestial Bodies: Moon Agreement)」は、1966年条約に定められた月およびその他の天体に関連した原則をさらに詳しく規定し、これらの天体における天然資源の将来の探査および開発を規制する基礎を定めている。

総会は、委員会とその法律小委員会の作業に基づいて、宇宙活動の行為に関する次のような原則を採択した。

  • 「宇宙空間の探査と利用における国家活動を律する法原則に関する宣言(1963年)」は、宇宙空間の探査および利用は全人類の利益のために行うとの基本原則を規定している。
  • 「国際直接テレビ放送のための国家による人工衛星の利用を律する原則(1982年)」は、その利用は国際的な政治的、経済的、社会的、文化的影響をもつものであることを認めている。そうした活動は情報と知識の普及と交換を促進し、開発に貢献し、かつ不干渉の原則も含め、国家の主権を尊重するものでなければならない。
  • 「宇宙空間から地球資源の遠隔探査に関する原則(1986年)」は、そうした活動は、天然資源に対するすべての国家と国民の主権を尊重し、すべての国の利益のために行われるものとすると述べ、また他の国々の権利や利益のために行われなければならない、と述べている。遠隔探査は、環境の保全を図り、自然災害の影響を緩和するために利用されるものである。
  • 「宇宙空間における原子力源の利用に関する原則(1992年)」は、宇宙活動には原子力源が不可欠であるが、その利用は十分な安全評価に基づいて行われなければならない、としている。また、原子力源の安全な利用、宇宙物体の機能不良のために放射性物質が地球へ再突入する危険性に関する通告について、ガイドラインを載せている。
  • 「すべての国家、とくに開発途上国のための恩恵と利益のための宇宙空間の探査と利用における国際協力に関する宣言(1996年)」は、国家は、公平かつ相互に受け入れられることを条件に、国際宇宙協力にどのように参加するかを自由に決定できる、と規定している。また、そうした協力は関係諸国によってもっとも効果的かつ適切だと考えられる方法で行われるべきである、と規定している。